「蒼穹のファフナー」第19~26話の感想(2019年)

 『THE BEYOND』第4~6話を見る前に一期1話から見直した時のメモ。『THE BEYOND』第1~3話のネタバレを含む感想は後日まとめて公開します。

 

・一期19話

 山野辺一記脚本の一期10話では女性(弓子と真矢)が料理をしていた。

 冲方丁脚本の一期19話では男性(道生と一騎)が料理をしていた。

 

 物語開始時、喫茶楽園は春日井夫妻が経営していたが、新国連のスパイだったことが判明した後、春日井夫妻は竜宮島から追放された。その後、喫茶楽園は溝口が引き継ぎ、「一騎がいないせいで毎日お前が俺の店で飯食ってるって伝えてやるよ」と溝口が言っていたが、料理をするシーンは『HEAVEN AND EARTH』で描かれた。この時、溝口と一騎が厨房に入っていた。

喫茶楽園

 

 『EXODUS』では男性が料理するシーンが数多く描かれた。

  • 1話:一騎、総士、暉、零央が喫茶楽園で料理をした。
  • 4話:御門昌和がケーキをデコレーション。
  • 14話:第13キャンプでは溝口が狩りを行い、一騎と人類軍の兵士(男性)が食事を作っていた。
  • 17話:娘の死を受け入れた鏑木夫妻が自宅に戻ってきた後、食事の準備をしたのは夫の充だった。

 冲方丁が脚本を書くようになってから、意図的に男性が料理するシーンが描かれている。

 

・一期20話

 甲洋の姿を見て即座に銃を手にする溝口と銃を持ってこなかったので、銃を持てないカノンの姿が対照的である。

 軍人であるカノンは銃をすぐ手に取ることのできる環境で生きていたことがわかるシーンである。もっとも竜宮島の子どもたちは銃を使えるように教育されている(※1)。

 

 目覚めた甲洋がまず思い出したのは、フェストゥムに同化される直前の出来事だった。

甲洋「海、海か。
   遠見を、確かに、助けたぞ、一騎」
一騎「甲洋」
咲良「あ、あたしはお前を助けられなくて」
甲洋「あり、がとう、咲良」
一期20話

 この会話での注目点はフェストゥムに同化され、意識を失っていた甲洋が自分を救出したのは咲良だと聞き、そのことを理解したことである。時間という概念を持たないフェストゥムになった甲洋が時間を認識していたということになる。

甲洋「翔子。
   翔子は、もう、いない、翔子は」
一期20話

 甲洋が目の前に立つカノンを見て、思い出したのは翔子がいなくなったことだった。つまり甲洋は記憶を遡る形で思い出しているということになる。

 甲洋はこの後、再び眠りにつき、目覚めた後は竜宮島を守るためにミョルニアと戦った後、姿を消した。その後、甲洋は『HEAVEN AND EARTH』ではマークフィアのコアとなって戦った後、再び姿を消したが、『EXODUS』19話で人の姿を取り戻して帰ってきた。『EXODUS』で甲洋は人の姿を取り戻したが、最終的に人間だった時の記憶をすべて思い出したのではないだろうか。

 

・一期21話

彩乃「今月に入って6度目の迎撃に成功、か」

溝口「問題は敵が4日に一度攻めてきやがることか」
一期21話

 一期20話の夏祭りが行われたのが8月20日。今月に入ってということは9月なので、4日×6回=24日が経過していることになり、一期21話の冒頭の戦闘は9月末ということになる。

 

道生「お前が子どもをどんなふうに育てるのか、想像がつくよ」
一期21話

 道生が子どもが生まれる前にいなくなることを予感させる台詞。道生は弓子の子育てする姿を見ることができなかったことを考えると悲しい台詞だ。

 

・一期22話

カノン「私も皆と同じになりたい」

 総士「新国連の最終決戦計画に参加する場合、一騎達と共に戦いたい」
一期22話

 カノンも総士も皆と同じ(竜宮島のファフナーのパイロット)になることを望んでいた。カノンの望みはかなえられたが、一期では総士の望みはかなえられなかった。その後、総士も皆と同じになるという望みをかなえたが、カノンも総士も望みをかなえた後、いなくなってしまった。

 

・一期23話

千沙都「やることをやって、それからたくさん泣くわ」
一期23話

 千沙都には泣く時間が与えられることなく、息子に再会してしまった。

 

彩乃「あんたの代わりに誰かがファフナーに乗るんだってことは忘れないで頂戴」
一期23話

道生「せめて後続のパイロットが育つまで降りるわけにはいかないんだ」
一期23話

 この台詞の流れから、彩乃の言葉通り、剣司の代わりにファフナーに乗ったのは道生ということになる。

 

真矢「だから一騎君もみんなが元気だった頃のこと忘れないで。
   戦いばかりにならないで」
一期23話

 真矢は一騎が戦いばかりの人生を選んでしまうことを見抜いていたが故に引き留めようとした。しかし、真矢の言葉は一騎に届かなかった。

一騎「でも、敵と対話できる人たちがいる。
   彼らを守るために俺の命を使いたい」
ドラマCD『THE FOLLOWER2』

 敵と対話する人を守るためという条件付きとはいえ、一騎は一生戦い続けることを選んでしまった。

 

 マークニヒトに乗ったイドゥンは根だけ残ったスカラベ型のコアになって竜宮島の内部を攻撃し、ワームスフィアで竜宮島の外部を攻撃した。その結果、マークニヒトはワームスフィアを覚えてしまったのではないだろうか。

ニヒトとワームスフィア

 操がマークニヒトに乗り、母艦が攻撃され憎しみに飲まれた時もワームスフィアを放った。

マークニヒトとワームスフィア

 総士はマークニヒトを起動した直後、封印されていた石棺をワームスフィアで破壊した。

 

・一期24話

 

ミョルニア「ありがとう、史彦。
      一騎を育ててくれて」
一期24話

ミョルニア「いってらっしゃい、一騎」
ドラマCD『THE FOLLOWER2』

 ミョルニアは史彦と一騎に一番ずるい言葉を残して去っていった。

 

・一期25話

 テレビ放送版を見すぎたので(テレビ放映は12月末、DVDは翌年6月発売)、何度見ても25話、26話に分割されたバージョンは違和感を感じる。

 一期の戦闘シーンは手書きとマッチしていたと思うが、それでも物量戦となった25、26話はCGで見てみたいという気持ちになった。

 

 蒼穹作戦に参加するメンバーが北極に出発したのは『EXODUS』5話でシュリーナガルに出発した時と同じく早朝だった。

 

カノン「分断されたか」
一期25話

 フェストゥム側の作戦を見抜いたの戦闘経験豊富なカノンだった。

 

・一期26話

乙姫「あたしは、あなたたちみんなを抱きしめるおかあさんみたいに
   そのためにこの島と一つになる」
一期26話

 竜宮島のコアである乙姫が母という概念を理解したことも、コアの子供が生まれた一因なのかもしれない。

 

   総士「敵のミールの鼓動。
      一騎か」

   総士「還ったのか、もう一つのミールの元へ、乙姫」
一期26話

 北極ミールに同化された結果、総士は北極ミール側のに属する者となってしまった。

 イドゥン「これは我々ではない」
ミョルニア「我々でないものが我々の前にある」
一期13話

 その結果、総士は竜宮島のミールをミョルニアとイドゥンと同じように感じたのだろう。

 

 『EXODUS』22話、アビエイターを同する寸前、一騎は微笑んでいた。

一騎「遠見、来るな、遠見。
   俺も、必ず」
一期26話

 一騎が真矢にこう言った直後、『EXODUS』22話と同じように微笑んでいることに気がついた。

 一騎はいなくなることを覚悟したが故に微笑むのだろうか。

 

※1 『EXODUS』10話、銃を持てなくなった弓子が真矢に銃を託す際「使い方は教わってるでしょ」と言っている。