「蒼穹のファフナー」を見直した感想 Part4(2020年)

 『THE BEYOND』を6話まで見た後に一期を見直した感想です。『THE BEYOND』6話までのネタバレが含まれています。今回、未公開にした記事は『THE BEYOND』全12話先行上映後に公開します。

 

●一期14話

・総士と史彦

総士「ファフナーを出させます」

総士「戦わずに降伏する気ですか」
一期14話

 いかなる手段を用いても妹、乙姫を守りたいという総士の焦る気持ちが伝わってくる。さすがに竜宮島への攻撃が開始された後、総士は史彦に怒鳴っていた。

弓子「撃ってきた」
彩乃「なんて奴ら」
総士「司令!」
一期14話

 

・乙姫の目覚め

澄美「地上S18ブロックに次々に敵兵上陸。
   アルヴィス内に侵入されるのも時間の問題です」
一期14話

 総士が悔しげな表情をした後、乙姫が岩戸から出るシーンになっていることから、乙姫はこれ以上、総士に守ってもらうのは無理だと悟り、身を守るために岩戸から出たのだろう。

 

・モルドヴァ基地と偽竜宮島

 一期で溝口と真矢が人類軍に捕らえられた一騎を迎えに行った時、天気がよくモルドヴァを見ることができた。

 

 一方、『THE BEYOND』でアルヴィスがこそうしの捕らわれている場所を突き止め、こそうしを連れ戻しに行った時、外から偽竜宮島を見ることはできなかった。

 一期では一騎を航空機で迎えに行っていたが、『THE BEYOND』ではこそうしをRボート、つまり船で迎えに行っていた。

 

・ザルヴァートル・モデル

洋治「お前たちは情報という概念を理解したことを私にとっての喜びだ。
   だがここの情報は渡せん」
一期14話

 一期26話でフェストゥムにマークニヒトが渡ることを防ぐために、マークザインの中にマークニヒトを封じ込めたことを考えると、フェストゥムにザルヴァートル・モデルの研究データは渡せない。この時点で一番フェストゥムのことを理解していた人間故の行動と言える。

 

●一期16話

・史彦と総士

 人類軍が攻め込んできた時の対応に納得できない総士は苛立つ気分を表しているかのように史彦の横に立ってその理由を尋ねた。

総士「なぜ戦わせてくれなかったんですか。
   こんなに簡単に島を渡すなんて」
一期15話

 総士は史彦の説明に納得し、その判断を信じることにしたのか、次に史彦と話す時は史彦の隣の椅子に座っていた。

史彦「バーンズは優秀な指揮官だ。
   簡単にはやられはせんだろう」
総士「モルドバのようにならないことを祈りますよ」
一期16話

 

・ジークフリード・システム

 一期16話と『THE BEYOND』6話にシステムを移動させるシーンがあるが、その状況は対象的だった。

       一期  THE BEYOND
  動かした人 乙姫(フェストゥム) 史彦(人間)
  状況 人類軍から指揮権を フェストゥムの
    奪い返すため 攻撃から守るため
  システム担当者 搭乗した状態で移動 移動した後、搭乗した

 

・千鶴

 一期16話で千鶴は身を挺してフェストゥムの攻撃からコアである乙姫を守ろうとした。

 この時はモルドヴァから帰ってきた一騎がフェストゥムを攻撃したため、千鶴と乙姫は無事だった。

 一方、『THE BEYOND』6話で千鶴は史彦を湖に突き落とすことでフェストゥムの攻撃から守り、千鶴はワームスフィアに飲み込まれ命を落とした。

 千鶴が一期16話と『THE BEYOND』6話で守った人はジークフリード・システムを移動させた人と同じであることから、千鶴は常に竜宮島及びアルヴィスの導く人を守ろうとしたということになる。

 

・トリプルドッグ

 剣司、衛、咲良によるトリプルドッグは一期12話の戦闘ではフェストゥムを倒すことに成功したが、この三人での2回目となる一期16話の戦闘ではフェストゥムを倒すことに失敗した。

 

●一期17話

・皆城公蔵

 皆城公蔵と総士はどのような親子だったのだろうか。

   保「この新型、やはりミツヒロと日野の研究か」
  容子「二人は北極のミールとの決戦を望んでたんですよね」
  西尾「それは皆城公蔵も同じさ」
一期16話

 公蔵の北極ミールに対する考え方はミツヒロと同じだったという。ならは、公蔵と総士の関係はミツヒロと真矢と同じなのではないだろうか。

  真矢「あたしね、お父さんのカメラ使ってるの」
ミツヒロ「カメラ?」
     ああ、あんな幼稚なのよりお前にはもっと素晴らしいものを与えよう」
一期17話

 つまり、総士のわがままをすべて聞き入れていた父親だったのではないだろうか。総士は乙姫にミツヒロが真矢に言ったのと同じようなことを言っていた。

  総士「なんでも望み通りにしよう」
一期16話

 しかし、そんな父でもファフナーに乗って戦いたいという総士の望みをかなえることはできなかった。

 

・同情

総士「お前たちパイロットが感じた痛みが
   戦闘後にも僕の体で再現されることがある。
   その痛み止めだ」
一騎「総士」
総士「ま、まだ説明は終わっていない」
一期17話

 総士は同情されるのが嫌なのか、同情されそうになると話をそらす癖がある。『EXODUS』では剣司の話をそらしていた。

総士「助けがなければ危なかった。
   感謝する」
剣司「なに言って」
総士「御門さんに作ってもらったのか」
『EXODUS』22話

 

・バーンズ

バーンズ「これよりAPI1、通称竜宮島を含むアルヴィス占領作戦に向かう」
ミツヒロ「あの島のコアを奪うことを再優先にな」
一期13話

 竜宮島を占領する作戦だったが、最優先事項は竜宮島のコアの確保だった。しかし、作戦に失敗したバーンズはコアごと竜宮島を滅ぼす作戦に踏み切った。

バーンズ「人類の未来のためにあの島を滅ぼせ」
一期17話

 しかし、バーンズは竜宮島を離れる前、史彦に投降を呼びかけていた。

バーンズ「あくまでも島を捨てる気はないか」
  史彦「無論だ」
一期17話

 命令とは言え、バーンズも旧知の知人を見殺しにすることはできなかったのだ。

 

●一期18話

・草刈り

 道生が自宅の草刈りをしている時、モルドヴァで会った道生の父、洋治のことを話すために真矢が訪ねてきた。道生は真矢に島の外の世界での生活について話した。

道生「世界中ひどい状態だったよ。
   ただ敵がそこにいるから戦う。
   それじゃあ、フェストゥムと何も違わない」
一期18話

 『THE BEYOND』5話、こそうしが剣司と一緒に庭の草刈りをしている場面があった。

 

弓子「昔は臆病で情けなくって、
   目立ちがり屋で女好きのろくでなしだったわ」

咲良「臆病で情けなくて目立ちたがり屋の女好きで、
   父さんと正反対なんだから」
一期21話

 弓子から見た若い頃の道生と、咲良からは見た剣司はそっくりであり、剣司は道生の後を継いだキャラクターだった。

 

・人間とフェストゥム

 ミツヒロは子どもたちの親に対してわざと感情を煽る発言をした時、子どもたちの親はミツヒロの読み通りの反応をした。

ミツヒロ「あそこにいるのは所詮、受胎能力を失った日本人が作った
     遺伝子工学の産物ではないか」
  容子「なんてことを」
ミツヒロ「彼らは結局、ファフナーを動かす電池にすぎん」
   保「もう一度言ってみろ。
     無事に島を出られると思うな」
一期18話

 ミツヒロは島のコアに対しても感情を煽る発言をしたが、フェストゥムである島のコアはミツヒロの挑発には乗らず、冷静に反応した。

ミツヒロ「遠見千鶴は同化された母親からお前だけを取り出し
     苦痛だけの人生を与えた女だぞ。
     なぜ庇う」
  乙姫「それがお母さんの意志だもの。
     いなくなるはずだった私がここにいるのは千鶴のおかげ。
     あたしもお母さんも千鶴に感謝してる」
一期18話

 ミツヒロは人間とフェストゥムに同じことをしているので、人間とフェストゥムの違いが浮き彫りになっている。

 

・ミツヒロ・バートランド

  真矢「お父さんはフェストゥムとどう違うの」
一期18話

 真矢は父にこう問いかけたが、竜宮島を去る時、史彦の問に対してミツヒロが返した言葉はすべてを無に帰すフェストゥムの考えた方そのものだった。

  史彦「戦いに勝ったとしてお前に何が残る」
ミツヒロ「勝てるなら何も残らなくていい」
一期18話