『EXODUS』1話のテレビ放映版しか見ていない人は、ぜひレンタルで1巻を借りて1話の長尺完全版を見てほしい。
真矢「一騎くんも。
一日早いけど、お誕生日おめでとう。
一騎「成人式を手伝うって、剣司と約束した」
『EXODUS』21話
『EXODUS』1話完全長尺版、喫茶楽園で一騎と剣司が成人式の話をしている場面がある。
剣司「次の検査、来週な、忘れんなよ」
一騎「ああ」
剣司「俺たちの成人式もな。準備手伝えよ」
一騎「うん、いつもありがとな、剣司」
『EXODUS』1話
この場面を見た時、羽原監督が昔、イベントで成人式を描きたいと言っていたのを思い出したけど、作中で一期のメンバーの成人式を描く気があるなら、テレビ放映版に入れておくべきだと思ったシーン。
真矢「一緒に帰ろうって言ってくれてありがとう。
あたし、もう島に帰っちゃいけないんじゃないかなって思ってたから。
一騎「帰ろう、俺たちの島に」
『EXODUS』21話
一期と『EXODUS』で一騎、総士、真矢の関係はすべて反転している。一期で一騎と総士が和解した後、最終的に二人がどういう結末を迎えたのかを思い出すと、一騎と真矢の未来も見えてきてしまう。
一騎「命が全部、消えたわけじゃない」
『EXODUS』21話
『EXODUS』14話「今日、ここにいる命をたくさん分けてもらった」、『EXODUS』18話「フェストゥムが命をわけてくれた」と14話以降、死に満ちた旅の中で一騎は命について考えている。その先に『EXODUS』4話で織姫から突きつけられた「あなたはどう世界を祝福するの」の答えがあるのだろうか。
一騎「戦うだけじゃ希望になれないって思い知った。
ただ命を使うだけじゃ、どこにもたどり着けない」
総士「同感だ。
僕らには新たな平和を作る術がない。
世界を導く者たちを、対話の力を守ろう。
犠牲になったすべての人のためにも」
『EXODUS』21話
一つの時代を終わらせ、新たな時代を築くためにいつでも英雄は必要とされるが、新たな時代に英雄の生きるべき場所はない。神話で英雄は役割を終えた後、悲運の死を遂げるのが定め。
現代のフィクションにおける生き延びてしまった英雄といえば、Zガンダム以降のアムロ・レイを思い出す。
総士「敵だ、港にもう一体現れた」
一騎「行け、総士。
こいつは俺がやる」
総士「頼むどころか命令か」
『EXODUS』21話
長い旅の中で一騎が何かを悟り、真矢との関係が変わったのと同じく、戦いにおける総士との関係も変わった。カノンと一騎の関係も一期から反転しているけど、『EXODUS』18話のアバンで見たカノンの夢をきっかけに一騎は一期のカノン同様、誰からの命令を待っている人間から自分で考えて行動する人間へと変化した。また一期から一貫してカノンが「あなたはそこにいますか」というフェストゥムの問いかけの答えを通して自分の気持ちを表現していたけれど、『EXODUS』では一騎もその答えを通して自分が今ここにいる理由を探しているように感じる。
以下に印象に残った一騎の台詞を並べてみた。
ここは穏やかで大事な仲間がいた場所だから、俺はここにいるよ。
『EXODUS』1話
ずっとこいつに呼ばれてる気がしてた。
ここにいる理由を教えてくれって。
『EXODUS』6話
まだだ、俺の命は、まだここにある
『EXODUS』7話
それがたぶん…まだ俺の命がここにある理由だから。
『EXODUS』9話
そのために俺はここにいる。
俺は…まだ…ここにいるぞ。
『EXODUS』21話
ミツヒロ「輸送機を守れ」
グレゴリ型「目覚める時が来たよ」
ミツヒロ「俺は…何を」
グレゴリ型「つながろう、僕らみんなと」
『EXODUS』21話
ここでミツヒロが無意識の内にフェストゥムに心を読まれていたことが判明し、作中で何度となくその存在を指摘され、ナレインが探していた内通者だった。1話の完全長尺版にミツヒロがディアブロ型に刺され同化されそうになるがキャンセルという場面があるんだけど、フェストゥム側の内通者になったのはその時なのだろうか。
具体的に心を読まれていることを匂わせる描写は『EXODUS』12話Bパートの冒頭か。
ウォルター「最後の最後で相手は人間か」
『EXODUS』21話
ウォルターは一期のカノン同様、人類軍に属し、最初は命令に何の疑問のなく従っていたものの(『HEAVEN AND EARTH』)、交戦規定αという名で軍人や民間人を無差別に殺すことには耐え切れず(『EXODUS』1話)、最後は自分で決めて生きることを選んだ人だった。
溝口「ここにいるのは人間だ。
お前らとフェストゥム、どこが違う。答えてみろ!」
『EXODUS』21話
一期18話、真矢の台詞「お父さんはフェストゥムとどう違うの」を思い出した。
・修羅
21話の最終場面で流れた曲は『EXODUS』のサントラvol.2に収録されている「修羅」。今までにはない曲調でどこで使うのかが気になっていた曲。コーラスで歌われている歌詞はレクイエムで使われる典礼文の中の「怒りの日」の冒頭3行。「怒りの日」の歌詞を使った意図をぜひ知りたいので、インタビューで聞いてほしい。
・新国連、人類軍の立ち位置
織姫「あなたたちは新たなミールの奪い合いに参加した」
『EXODUS』6話
この地球の未来を掴み取るゲームに参加できるのはミールを持つ者のみ。ミールを持たない新国連本部はアルタイル争奪戦には参加する資格さえなく、気がついたら人類軍はフェストゥム側の戦力の一つにされていた。そして、一期同様、竜宮島vsフェストゥムという構図であることに気がつく。
『EXODUS』15話でアビエイターと直接対峙した一騎が「フェストゥムと人類軍の両方で俺たちを滅ぼす気なのか」と言っていたけど、一騎は敵の意図を正確に見抜いていた。
・一期と対になっている構成
一期6話で翔子がいなくなり、『EXODUS』6話で織姫が岩戸から出てきた。
一期21話 咲良が倒れ、『EXODUS』21話で操が目覚めた。
一期の6話と21話では人がいなくなったり倒れたりしたが、二期では対称的にフェストゥムが目覚めた。