冠婚葬祭
元服・婚礼・葬儀・祖先の祭祀のこと。古来最も重要とされた四つの大きな儀式。
「大辞林」より
『EXODUS』16話で葬儀、『EXODUS』17話で祖先の祭祀、『EXODUS』19話で婚礼。となると残りは元服か。おそらく島外派遣組と合流した後に成人式をやるのだろう。
エメリー「あなたがいるから美羽は安らげる。
でも、あなたはいずれ…
つらいですよね」
弓子「ううん、今は美羽が理解できるもの。
わかってあげられないことの方が、ずっとつらかったわ」
『EXODUS』19話
ドラマCD『THE FOLLOWER』で先に明かされていた今の弓子の状態について触れられた。そして、ここで生前の弓子がやりたくてもできなったことへの気持ちが語られる。
一騎「いつも、そこにいるんだな」
真矢「ずっとファフナーに乗ってるみたいで。
いろいろ平気になるの。
なんでも平気な自分に」
『EXODUS』19話
ドラマCD『STAND BY ME』で真矢が見た瞑想訓練の海を思い出す。
真矢「何もかも平らで、何の感情も湧かない」
ドラマCD『STAND BY ME』
また、『Preface of 蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』で一騎は真矢の海をこう表現している。
波紋一つ起こらず、波は遠くで揺らめいてこちらには届かない。おそろしく強い意思-岩や珊瑚といった固定化したイメージがなくとも、不安定な波をしっかりと押さえつけ、その上に立ってしまえる心。 代わりに辺りは霧が漂い、孤独も抱えている。
『Preface of 蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』
一騎「遠見の居場所はここじゃない」
真矢「えっ」
一騎「島に帰ろう、一緒に。
生きて戻ろう」
『EXODUS』19話
『EXODUS』10話で「みんなと島に帰ってほしい」と言っていた一騎がやっと現実を直視して、真矢と一緒に島へ帰ると言った。一期でいうと16話で一騎と総士が和解した部分に当たる。一期で一騎と総士の間にあった互いの価値観の違いによるすれ違いが『EXODUS』では一騎と真矢の間で起こっている。何の事はない、三人の関係が一期と『EXODUS』ではすべて反転させられていた。
- 一騎と総士は一期では互いの価値観がずれていたが互いを理解できる関係へ変化し、『EXODUS』ではその状態が継続。
- 一騎と真矢は一期では互いに理解しあっていたが、『EXODUS』は互いの価値観がずれてすれ違い。
- 総士と真矢は一期では本心を隠したい総士と本心を見抜く真矢とはうまくいかなかったが、『EXODUS』では大人になり互いに歩み寄った。
暉「人類軍の爆撃機を待ってるんですよ。
来たら僕が撃ちます。早く来ないかな」
『EXODUS』19話
公式サイトによると暉の変性意識は「狙撃手として冷静に戦闘をこなしていくが、実は敵を倒す事に喜びを感じている」。変性意識は本人の本性ではないが(※1)、真矢も暉も極限状態に置かれた結果、変性意識に飲まれているように見える。
一騎もまた『EXODUS』2話、6話でザインを見るときの表情が憧れに満ちていて、あたかもザインに魂を喰われているように見える。総士以外の島外派遣組のパイロットの様子が気になる。
ウォルター「ずっと君たちに謝りたかった。
太平洋方面509混成航空部隊サジタリウス爆撃隊元副操縦士、それが俺だ。
3年前、俺たちが君の島を爆撃した」
暉「なんで話す。
お前がスパイか」
ウォルター「好きにしていい。
でも俺を撃てば君は後悔する。
この命は他で使わせてくれ」
真矢「マークツェーンの機体をロック」
暉「遠見先輩、この人」
真矢「聞こえた、クロッシングで」
『EXODUS』19話
一期は一騎=人間、総士=フェストゥムという構図で一騎と総士が互いに罪を犯し、それを許し合うという物語だった。『EXODUS』では真矢=竜宮島、ウォルター=人類軍という構図に変化し、同じ罪を背負っている者だけが相手を許し、互いに歩み寄り、和解への道を探ることができるのだろう。やはり真矢の役割は竜宮島回覧板 EXODUS第1号にある通り、紛争調停者である。
また、一期でカノンが人類軍から島へ行き、『EXODUS』で真矢が島から人類軍へ行くという形になり、一期と『EXODUS』でヒロイン二人の行動が反転されている。
ウォルターは考えの違う人間(竜宮島)を攻撃することはできたが、同胞への攻撃はできなかった。現在、それより更に深刻化したジレンマをダスティンが抱えている。ダスティンは同化されたとみなされる同胞への攻撃に迷いはないが、弟を殺すことはできない。
真矢の「マークツェーンの機体をロック」という台詞は一期19話の真矢の台詞「皆城くん、皆城くん。なんであたしの武器ロックしてるの、外して」とは逆の意味になっていて、やはり一期からひっくり返ってされている。
剣司「要先生、意識がないのにお前を呼んでたって」
『EXODUS』19話
一期22話で意識のない咲良が剣司の手を握るこの場面を思い出した。
要澄美は娘、咲良の結婚式は車いすに乗って出席。『HEAVEN AND EARTH』では剣司が咲良を車いすに乗せて夏祭りに参加しようとする場面がある。また要澄美の容体は遠見先生が「もし生きられても、以前と同じ生活はできないわ」と告げている。咲良は同化されたものの後遺症ありで回復。
咲良「今日みんなにいてほしかったなあ」
『EXODUS』19話
一期のパイロットで他に生存しているのは一騎、総士、真矢だけど、すべて島外にいるので出席した人はゼロ。つまり剣司と咲良がリーダーとなって後輩組を率いることで島を防衛する体制が整い、パイロットの世代交代が完了。つまり一騎、総士、真矢が島に戻った時、島に三人の居場所はない。
道生と弓子は子どもを残し、結婚を約束。結果は二人ともいなくなった。剣司と咲良には子どもはなく、結婚したということでこれも一期からひっくり返されている。
・一期3話で撮った写真。
一期17話で総士の部屋に飾ってある唯一の写真だった。
- 『HEAVEN AND EARTH』では弓子が撃った拳銃の弾がこの写真に当たった。
- 『EXODUS』8話で旅立つ前、この写真を総士が見ていた。
この写真が剣司の家にあることで、総士が担っていた島を防衛する指揮官として役割が完全に剣司に引き継がれたことを意味している。
容子「できたわよ、あなたの機体が…」
『EXODUS』19話
世代交代は親世代にも当てはまる。この物語では志半ばで倒れたものは誰かが引き継ぎ、やるべきことを完遂させた人は去る。
翔子とカノンという二人の子を通じて子どもを大人まで育て、カノンが設計図を残したファフナーを完成させた羽佐間容子はやるべきことをすべてやってしまった。
甲洋「確かに助けたぞ、一騎」
『EXODUS』19話
一期で甲洋は翔子が乗っていたゼクスを助けられなかった。それはフェストゥムとなった今でも彼の中に残ってしまった気持ちであり、この場面は甲洋のその気持ちを成就させる意味があったんだと思う。