織姫「戦う限り変わることは止められない。
誰もが祝福を背負うことになる。
それでも命さえ守られない人々に比べれば希望に満ちている」
ビリー「戦えるだけマシさ。
戦えない人たちの方が多いんだから」
『EXODUS』12話
12話の感想はこれでおしまい。
というのは冗談だけど、つまりフェストゥムと戦う力を持つ者と持たない者の立場を明確にした上で、戦う力を持つ者は義務を果たせと。つまり「ノブレス・オブリージュ」。そうしなければ、この世界は滅んでしまう。たとえ自分は志半ばで斃れても、誰かが後を引き継ぎ、未来を築くことを信じて。『EXODUS』6話で織姫 が一騎と総士に告げた言葉の意味がやっとわかった。
12話は1話の長尺完全版のAパートを見た時の感想、「私ならファフナーに乗って戦う道を選ぶ。抵抗することもできず、殺されるのは嫌だ」を思い出した。2話以降人類軍のファフナーに乗るリスクが語られたけど、島の外の世界が絶望的すぎてこの感想は変わらなかった。改めて設定がしっかりしていることを思い知らされた。
総士「フェストゥムの側に行った経験が」
ナレイン「私は違う。
ただエスペラントに近づくため、部分同化実験を行ったにすぎない」
総士「同化…。やはりミールの因子を」
ナレイン「マカベ因子の応用だ。
しかしファフナーで戦う力を得ただけで
ミールと交信する力は得られなかった」
『EXODUS』12話
人類軍側も人間とフェストゥム/ミールの因子との融合をやっているのね。子供じゃなくてリスク覚悟の大人なので島よりマシか。1話のハワイの部隊が考え方の違いからシュリーナガルとアルゴスに分裂した理由が知りたい。考え方の違いから別の道を行くことになったダスティンとビリーの兄弟が再会するエピソードは今後ありそう。
史彦「無人機たるトルーパーモデルの導入とドライツェンの起動を提案すると」
カノン「はい、試験段階はクリアしています」
史彦「未知の同化現象に襲われる可能性が極めて高いことも、承知の上かね」
咲良「そうなれば臨床データも増えて、治療法が見つかる可能性も高くなります。
千鶴「新たな同化現象はパイロットの命を守るための、部分的同化と肉体の変貌。
同化の過程がわかれば治療は可能です」
西尾行美「原因の大元は、ゴルディアス結晶だ。
あれが解析できれば」
容子「カノン、自分で決めたのね」
カノン「そうだよ、かあさん。
でも自分一人で戦うわけじゃない。
私より優秀な仲間がいる」
容子「あなたの分のシフトは私がやるわ。
不満や希望があればなんでも言いなさい」
カノン「ありがとう、母さん」
要澄美「咲良、あなたはもう以前のようにはファフナーを動かせないのよ」
咲良「大した戦力じゃないのはわかってる。
でも、あの子たちを勇気づけてやらなきゃ。
本当にファフナーに乗れなくなる前に」
要澄美「無人機を統括するためのスレイプニールシステムは
直ちに武器管理オペレーションとのリンクが可能です」
史彦「要咲良、羽佐間カノン、両名レギュラーパイロット復帰を認める。
規定にしたがい、出撃に備えろ」
カノン「行くぞ、機体と自分を信じて戦え!」
『EXODUS』12話
すまん、この場面で泣いた。
一騎に引き続いて咲良とカノンが自分で道を選んでしまい、それを受け入れて送り出すしかない母親の姿がつらい。咲良は二度パイロットを引退してるので、母 が娘を送り出すのが三度目(『HEAVEN AND EARTH』でのパイロット復帰では泣いていた)。カノンの母は翔子を亡くしていて、その上カノンも、となるとつらすぎる。
これで一期のメンバーはシステムに回った剣司以外、全員パイロットに復帰。1話の長尺完全版にある成人式ネタが回収されるのか。
『EXODUS』12話を見終わってすぐに思い出したのは2011年7月のイベントで『EXODUS』の制作が発表された時のコメント。(※)
脚本:冲方丁
「いよいよ蒼穹のファフナー新作でございます。まさにみなさんが開いた物語の扉です。主人公たちが成長した分、非常に過酷な物語になると思いますが、みなさんでしたら絶対に付いてきてくれると信じております。乞うご期待ください」
総監督:能戸隆
「ファフナー4作目の製作が決定しました。そのタイトル通り新しい章に突入します。一騎、総士、19歳に成長しております。彼らに迫る生存限界を描こうと思いますので、ご期待ください」
『EXODUS』のテーマの一つが「生存限界」であることを改めて突きつけた12話。『HEAVEN AND EARTH』では人間とフェストゥムの関係は何も解決していないので、続編を作る機会に恵まれた結果、大きな物語を完結させることに作り手の良心を感じるんだけど、さすがに心が折れそうです。ははは、あと1話+13話もあるんだよ、これ。
※ 2011年7月9日のイベントで流れされた映像での発言。この映像は『蒼穹のファフナー Blu-ray BOX』の特典ディスクに収録されている。