【蒼穹のファフナー EXODUS】26話とパルジファル

ワーグナー:舞台神聖祝典劇『パルジファル』
1992年ベルリン州立歌劇場
演出:ハリー・クプファー

parsifal

 『蒼穹のファフナー EXODUS』の最終回を見た直後に買おうと思ったのですが、諸事情により購入したのは最終回放送終了から三週間ほど後になりました。

 

 昔、NHK BSで放送されたことのある映像。この映像が資料として必要になった時に思ったのが「昔、録画したビデオ捨てちゃった」 演出のコンセプトは忘れていて、覚えているのはワルトラウト・マイヤー演じる第2幕のクンドリーがエロかったことのみ(笑) 2014年、新国立劇場でこのオペラがハリー・クプファー演出で上演された時、演出プランはベルリン州立歌劇場の時と同じと聞いたので、DVDを見れば演出を確認できるというわけです。

 オペラは演劇とは異なり、演出プランによっては台本通りの筋書きとならないことが多々あります。(昨年秋、NHK BSプレミアムで放送された「トリスタンとイゾルデ」ではあらすじ紹介の時に、今回この場面はないと注意書きされていた)この演出はラストが大幅に変更されています。変更点は以下の二点。

  • 台本ではアンフォルタスが生き、クンドリーが死ぬが、
    この舞台ではアンフォルタスが死に、クンドリーが生き残る。
  • パルジファルはアンフォルタスの後を引き継いで聖杯王となるが、
    この舞台ではパルジファルはグルネマンツとクンドリーと立ち去る。

 第3幕のラストの“Nur eine Waffe taugt”(この武器のみが役に立つのです)の場面から最後までを見た。傷が癒えたアンフォルタスはパルジファルに後を託し、息を引き取る。しかし、パルジファルはアンフォルタスの後を引き継いで聖杯騎士団を率いることはなく、グルネマンツとクンドリーとともにその地を去る。しかし、三人でその精神を引き継いだ新たな集団を作ることになるのだろう。この演出だと完全に『EXODUS』のラストと重なってしまい、涙ぐんでしまう始末。

 改めて『EXODUS』は一騎が総士の後を引き継ぐ物語だったことを思い知らされた。

 

 今年3月、2014年に上演された新国立劇場のクプファー演出を手がかりにこの作品を勉強し直したのですが、『EXODUS』がまさかこの演出と同じ形で幕を閉めると思わなかった。

 

P.S. オペラの輸入盤DVD/BDでは珍しく日本語字幕付き。