「蒼穹のファフナー EXODUS」を見直した感想 Part3(2020年)

 『THE BEYOND』を6話まで見た後に一期を見直した感想です。『THE BEYOND』6話までのネタバレが含まれています。今回、未公開にした記事は『THE BEYOND』全12話先行上映後に公開します。

 

●第15話「交戦規定アルファ」

・交戦規定アルファの扱い

 溝口、一騎、総士の3人で話している時、竜宮島側で交戦規定アルファの話をしていた。

溝口「心配なのは目的地にいる人類軍さ。
   敵の撃退が伝わってなきゃ
   俺たちに向かって皆殺しの爆弾を飛ばすかもだ」
総士「交戦規定アルファというやつですか。
   それこそ将軍が放った通信部隊が任務を果たしたと
   信じるほかありませんね」
『EXODUS』12話

 真矢、暉の反応から、広登も交戦規定アルファを知らなかったと思われる。

真矢「人に攻撃されてるの?」
 暉「なんだよ、これ」
『EXODUS』15話

 前線で戦っていた真矢、暉、広登の3人は交戦規定アルファの存在を知らないという設定で話を進めていたが、「溝口にしてはツメが甘い」と感じてしまったので、竜宮島のパイロットは全員、交戦規定アルファを知っているという設定で話を進めた方がよかったのではないだろうか。

 

・竜宮島部隊とペルセウス中隊

  キース「いたね、もう一機だ」
  ビリー「立って暉、早く逃げて」
『EXODUS』15話

 ビリーが暉にアルゴス小隊に狙われていると警告したため、狙い撃ちされずに済んだ。この直後、ビリ―の兄、ダスティンがビリーの手を取って、連れ去さろうとしたが、暉がダスティンを攻撃したため、ダスティンはビリーを連れ去さることはができなかった。

ダスティン「ビリー。
      来い、ビリー」
『EXODUS』15話

 竜宮島部隊とペルセウス中隊の連携がうまく取れている状態を描くことで、お互いが相手を理解していることを表現している。

 

●第17話「永訣の火」

・マークドライツェンの中と外

イアン「機体の中では2時間が経過。
    こちらでは1時間しか経っていないのに」
『EXODUS』15話

イアン「2時間の起動試験で6時間も乗っていたことになります」
『EXODUS』16話

 カノンのSDPが発現したドライツェンのコックピットと外の世界は時間の流れが異なっていた。つまり、偽竜宮島はカノンのSDPが発現したドライツェンのコックピットと同じ状態になっていたため、偽竜宮島の外の世界で3年経過した時、偽竜宮島では12年経過していたということになる。そのため、生まれてから2年後に連れ去られたこそうしは3年後にはファフナーに乗れる年齢(14歳)に成長していた。

 

●第18話「罪を重ねて」

・遺体のない死

 彗「管理システムによればカノン先生はここで消えたって
   父さんが言ってました。
   同化現象の末期症状だった可能性が高いと」
『EXODUS』18話

 カノンがいなくなったが、その遺体は残らなかった。

容子「カノンは、いないんですね」
『EXODUS』18話

 羽佐間容子はカノンがいないという事実をなかなか受け入れられなかった。人間は遺体のない場合、その人が死んだという事実を受け入れるのに時間がかかる。

 

・コアの誕生

  総士「群れが共鳴した」
  美羽「きれい、お花みたい」
エメリー「声を聞いてくれてありがとう」
ナレイン「コアを回収しろ」
『EXODUS』18話

 『EXODUS』3話、エメリーが竜宮島ミールとお話をしてキールブロックに新たなコアが生まれたが、『EXODUS』18話では竜宮島でエメリーがやったことをより具体的に表現していた。

 

●第19話「生者の誓い」

・尺不足

 一期と同じように17話をカノン回、18話を真矢回にした結果、一番しわ寄せを食って尺不足になったのが、『EXODUS』19話だったのではないだろうか。冲方サミットのtwitterアカウントに『EXODUS』19話の脚本作業が困難だったことが明かされていた。

【蒼穹のファフナー四方山話】19話は「正しい形」を探り続けた話数でした。書くたび、もっと正しい形が見えて書き直す。製作陣のご指摘でまた形が見えて直す。コンテを拝見してまた答えが分かりセリフを直す。
冲方サミット 2015年11月7日

【蒼穹のファフナー四方山話】やっつけだと途中の形で諦めるしかない。今いる人物を描くのに精一杯になって過去から帰還する者を迎えられなくなる。誰も諦めず、辿り着けた島と人々の未来に感謝。冲方 冲方サミット 2015年11月7日

 

   史彦「機体の改良に要する期間は?」
  イアン「コンバージョンには1ヶ月以上かかります」
   史彦「シールドの状況は」
ジェレミー「徐々に低下。
      1ヶ月持ちません」
『EXODUS』19話

 シールドの低下にともない多くの島民が病に倒れる中、シールドが消滅する前にどうやって機体の改良の納期を縮めたのかという部分について、作中で納得できる説明がなかった。また、『EXODUS』19話内で作中の時間が1ヶ月経過したが、その時間の経過を感じられなかった。あと5分あれば、そのあたりをきちんと描けたのではないだろうか。

 

・時間経過

 羽佐間容子の「必ず完成させるわ、カノン」の後に以下のカットがあった。

 この後、剣司が「僕にお嬢さんを下さい」要澄美に言っていることから、時間経過を表していると思われるが、初見時にはその意味が伝わらなかった。おそらく大量のグレンデル型に侵食された彦島の姿だと思われるが、『THE BEYOND』を6話まで見た後だと、生命が存在しないマレスペロの絶対停止領域のように見える。

 

●第20話「戦士の帰還」

・広域通信

ハインツ「広域通信だ。
     敵が来る」
『EXODUS』20話

 地球上で広域通信を使うをフェストゥムを引き寄せてしまうが、アショーカのあるエリア・シュリーナガルは広域通信が使用可能だった。

  溝口「広域の電波通信を使ってやがる」
 オルガ「フェストゥムを引き寄せるはずなのに。
     敵が全くいないなんて」
『EXODUS』6話

 

●第23話「理由なき力」

溝口「マークニヒトを渡すってのが効いたな。
   本当に渡しゃしないけどよ」
『EXODUS』23話

 初見時にも感じたけど、「本当に渡しゃしないけどよ」はネタを明かしすぎているので、カットすべきだった。

 

●第26話「竜宮島」

・マークジーベン

キース「いたよ、Dアイランドの死神が」

キース「死神が、消えちまいな」
『EXODUS』26話

 マークジーベンはエインヘリヤル・モデルに改修されるとマークジーベン改アズライールという機体名に変更されたが、その名前を先取りするかのように、キースが真矢のことを死神と呼んでいた。

 

・痛みの根源

総士「存在が消える恐怖。
   痛みの根源か」
『EXODUS』26話

 痛みには最初からいなくなることも含まれていた。

総士「いなくなることへの恐怖だ、フェストゥム」
一期26話

 操「俺たちに痛みや死の恐怖を与えたのはこの島だから」
『HEAVEN AND EARTH』

 

 

●「EXODUS」を見終わって

 『EXODUS』は『THE BEYOND』を最後まで見た後に見直した時、真実の姿が見えるという作りになっていました。ネタバレを避けるため、書いた文章の2割ほどしか公開できませんでした。後日、未公開にした感想を公開する予定ですが、時期は未定。

 『THE BEYOND』を理解した数日後、一期1話を見たものの、Aパートで挫折。結局、一期1話~『EXODUS』26話を見終わったのは『THE BEYOND』を理解した日から3ヶ月後のことでした。