「蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE」の感想 Part5

 2023年1月20日から劇場先行上映された『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』の感想です。

 

●咲良と祐未

 咲良の父は初めて竜宮島に現れたフェストゥムとの戦闘で亡くなった。咲良は『BEHIND THE LINE』の研修の時、戦闘機のシミュレーション訓練を体験したが、それは父の仕事を知るために行ったことだった。

 

 祐未の父は祐未の言葉に対して、「ああ」と「そうか」という言葉しか返さなかった。 そのため、祐未は父が何を考えているのかわからなかった。 祐未がそんな父の考えを知る手がかりは父の最後だった。

祐未の父「アルヴィスに……行かな……ければ……」
『RIGHT OF LEFT』

 祐未は父が立案したL計画に参加することで、父が考えを知ることができたのではないだろうか。

 

●自分で選ぶ

 総士は13歳の時、父、公蔵が示す進路(システム担当者)を進び、14歳の時、自分で進路(システム担当者)を選びました。

公蔵「パイロットには別の者を選抜する。
   お前はジークフリードシステムに乗れ、総士」
総士「前線で戦わず……仲間を戦場に送り出せと……」
公蔵「それがお前の適正だ」
『RIGHT OF LEFT』

総士「たとえ強いられた運命であっても、
   自分の意思で選び直せというのか、乙姫」
一期16話

 

 総士は18歳の時、自分で進路(研究)を選び、19歳の時、島のコアが示す進路(ファフナーに乗る)を選びました。

総士「僕も研究に参加する。
   お前の延命くらい実現してみせるさ」
『BEHIND THE LINE』

織姫「総士、一騎、今すぐ美羽を守りに行きなさい」

総士「ぼくはコアの言葉に従う。
   ずっとそうしてきたように」
『EXODUS』6話

 『BEHIND THE LINE』は2150年8月の出来事を描いていましたが、それから1年もしない2151年6月28日、竜宮島に人類軍が訪れ、状況は一変。総士は島のコアの言葉に従い、シュリーナガルに旅立つことになり、総士の研究は一騎の言葉通りの結末を迎えることになりました。

一騎「何か学んで、やり始めて、
   でも、それがやり残したことになるのが嫌なんだ」
『EXODUS』1話

総士「この体も特殊すぎて、同化現象の治療に役立てられなかった」
『EXODUS』8話

 総士の望みは「僕は人間として生き、命を終えること」(※1)だったので、結果はどうあれ、総士にとって自分で選んだ進路に進むことが、人間として生きることだったのかもしれません。

 

●家を空ける

 一騎と真矢は自分の親のために家を空けようとしていましたが、視点を変えると、大人への一歩を踏み出した一騎と真矢が、自分の家から出ようとしている姿にも見えます。一騎と真矢が実際に自分の家を出たのは『THE BEYOND』12話でした。

 真矢は竜宮島に帰った後、日野家に住むことを選んだ。

  真矢「分担は減るよ。
     あたしも住むから」
こそうし「遠見さんの家は」
  剣司「遠見先生の病院を俺が借りるんだ」
『THE BEYOND』12話

 一騎は竜宮島から旅立った。

  史彦「お前がどこに行こうとも」
  一騎「ここが俺の帰るべき場所だ。
     ありがとう、父さん」
『THE BEYOND』12話

 

 

※1 『EXODUS』14話の総士の台詞。