【蒼穹のファフナー THE BEYOND】総士と一騎

 『THE BEYOND』での総士と一騎については、あえて書かないという選択をしましたが、自分の中で整理がついたので、書ける範囲で書いてみました。

 

●終活

 『EXODUS』が総士の終活を描いた物語であるならば、『THE BEYOND』は一騎の終活を描いた物語でした。総士と一騎が他の人に譲ったものをまとめました。

  総士 EXODUS 06話 戦う力(システム)を後継者に譲った。
  一騎 BEYOND 01話 戦う力(マークザイン)を美羽に譲った。
 
  総士 EXODUS 24話 命を言葉にしてこそうしに残した。
BEYOND 03話 こそうしは言葉を受け取った。
  一騎 BEYOND 11話 命をにしてこそうしに残そうとした。
BEYOND 11話 こそうしは力を受け取らなかった。
 
  総士 EXODUS 26話 一騎に子ども(こそうし)を残した。
  一騎 BEYOND 04話 真矢に子ども(こそうし)を残した。

 一騎は総士の行動をなぞるように、まず戦う力(マークザイン)を美羽に譲りました。総士は自分の人生を言葉に変えて残しましたが、一騎は自分の人生(=力)そのものを残そうとしました。こそうしは総士の言葉(=総士の命)を受け取りましたが、一騎の力(=一騎の命)は受け取りませんでした。一騎が甲洋と旅に出た後、総士が一騎に子どもを残したように、真矢には偽竜宮島から連れ戻した子ども(こそうし)が残されていました。

 こそうしが欲しかった一騎の力とは、一騎の持っている力そのもの(=一騎の命)ではなく、機体の特異現象、つまりファフナーのザルヴァートル化でした。こそうしは『THE BEYOND』9話でマークニヒトをザルヴァートル化するという形で一騎の力を受け取っていたので、『THE BEYOND』11話で一騎の持っている力(=一騎の命)は受け取らなかったのです。しかし、一騎はこそうしがもう一騎からほしかった力をもらっていることに気がついていないので、こそうしが「お前の力なんかいるものか」(※1)と言った後、意味がわからず、呆然としていました。

 

●総士の望み

 鏑木充と香奈恵とはL計画でいなくなった娘の灯籠を流した時、娘がもういないことを受け入れた。

 香奈恵「早苗の灯籠を流したこともないのね、私たち」

   充「もっと早くこうするべきだったな」
『EXODUS』17話

 

 総士は人間として生きて、命を終えることを望んでいたので、灯籠を流すという役割を一騎に頼んだ。

こそうし「これをお前が流せ」
『THE BEYOND』12話

 こそうしとの勝負に負けた一騎は文句を言わずにこそうしの言葉に従った。

  一騎「お前の言う通りにするよ、総士」
『THE BEYOND』12話

 一騎が総士の灯籠を流した時、総士は人間として生きて、命を終えたのである。

 

●太陽と月

こそうし「これをお前が流せ。
     僕が皆城総士だ。
     お前が知ってる誰かはもうどこにもいない。
     文句は言わせないぞ。
     僕はお前に勝ったんだ」
  一騎「お前の言う通りにするよ、総士」
『THE BEYOND』12話

 こそうしに負けた一騎は反論することなく、こそうしの言葉に従い、灯籠を流すことにした。一騎にとって総士は世界を照らす太陽だったため、総士の魂を灯籠に収めると、あたりは暗くなった。

 祭りが終わった後、一騎は喫茶楽園の前で真矢と話をした。一騎は月だったので、お互いの顔が見える明るさしかなかった。

 

●こそうしから見た一騎

 こそうしから見ると、『THE BEYOND』の一騎は一期の総士を思い出させる振る舞いをしていた。それはどんな意味を持っていたのだろうか。

 こそうしは他のコアと異なり、生まれ変わる前の記憶を持っていない。また、総士がマークニヒトの中に残したメッセージは事実を列記しただけのものであることから、こそうしは生まれ変わる前の自分である総士がどういう人だったのかを知ることはできない。一騎は一期の総士のような振る舞いをすることで、こそうしに生まれ変わる前の自分の姿そのものを見せていたということになります。こそうしは一騎を否定する、つまり前世の自分を否定することによって、前世の自分とは全く違う人間に生まれ変わったのです。

 

 

※1 『THE BEYOND』11話の台詞。