ワーグナー『ニーベルングの指環』でジークフリートはヴォータンが託した役割(指環をラインの乙女に返す)を果たなかった。それではジークフリートの功績は何だったのだろう。『神々の黄昏』のジークフリートの最後の言葉の訳注の中にその答えがありました。
このあと、ブリュンヒルデが彼(ジークフリート)の遺業を完成することを考えると、彼女(ブリュンヒルデ)を目覚めさせたことがジークフリートの最大の勲だったと考えることができる。
ワーグナー『ニーベルングの指環(下)
第2日 ジークフリート・第3日 神々の黄昏』(音楽之友社)
それでは一騎の『THE BEYOND』での勲、つまり功績は何だったのだろう。マリスに連れ去られたこそうしを発見して、偽竜宮島から連れ出したことではないのだろうか。
『THE BEYOND』3話、一騎はこそうしを仲間に引き渡した後、仲間とこそうしから離れた場所に立ち、姿を消しました。一騎は物語の主人公をこそうしに引き継いだ後、表舞台から姿を消したのです。ここが総士と一騎が主人公である『EXODUS』の最後の場面だったのです。
こそうしが主人公である『THE BEYOND』は『EXODUS』26話、海神島の海岸で一騎とこそうしが一緒に始まる場面で始まりました。一方、総士と一騎が主人公である『EXODUS』は『THE BEYOND』3話、一騎が姿を消した場面で終わりました。これを図にすると以下のようになります。
『EXODUS』の終わりと『THE BEYOND』の始まりを重ねることで、主人公の交代をシームレスにしたのです。