私は総士の物語を終わらせた後、一騎の物語を終わらせました。しかし、『ファフナー』は終わりません。『ファフナー』の主人公は一騎、総士、真矢の三人であるため、『ファフナー』は終わらせるためには真矢の物語を終わらせることが必要でした。
真矢を通して描かれたのは、子どもが大人になる時に経験することでした。
●父
8年前、竜宮島からいなくなったミツヒロが突然、姿を現した。

ミツヒロは真矢の考え(ファフナーに乗れない)を否定した。
ミツヒロ「ファフナーで出たのか」
真矢「ううん、あたしハンデがあるから乗れないんだ」
ミツヒロ「それはおかしい。
母さんたちによく聞いて見るといい。
データが間違っている可能性がある」
一期18話
しかし、真矢の望み(ファフナーに乗りたい)をかなえること=ミツヒロの望みをかなえることではありませんでした。
ミツヒロ「島から追放したまえ。
あとの面倒は私が見よう」
真矢「お父さん、あたしここにいます」
一期18話
ミツヒロは真矢の望みをかなえた後、真矢の前から姿を消した。

3年前、こそうしを探すために海神島からいなくなった一騎が突然、姿を現した。


一騎は真矢の考え(ファフナーから降りる)を肯定した。
一騎「遠見は十分やった。
ファフナーを降りても、誰も文句は言わない。
父さんも千鶴さんも」
『THE BEYOND』8話
しかし、真矢の望み(ファフナーから降りたい)をかなえること=一騎の望みをかなえることではありませんでした。
一騎「遠見、一緒に来るか」
真矢「えっ。そう言ってくれると思わなかった。
私じゃ一騎君のいる場所には行けないから、
ここで帰る場所を守ってるね」
『THE BEYOND』12話
一騎は真矢の望みをかなえた後、真矢の前から姿を消した。

真矢はファフナーに乗る時に父が必要だったように、ファフナーから降りる時にも父が必要でした。しかし、真矢の父は真矢をファフナーに乗せた直後にいなくなったので、真矢がファフナーから降りることを考え始めた時、真矢の父はもういません。そのため、一騎がミツヒロの代わりに真矢の父になって、真矢をファフナーから降ろしました。
●母
真矢は弓子がいなくなった場所に行った。しかし、そこには弓子がいた。

弓子「美羽よ、眠っているわ」
『EXODUS』7話
その後、弓子は真矢に物(銃)を残した。
弓子「真矢、あなたが持ってて」
弓子「使い方は教わってるでしょ。お願い」
『EXODUS』10話

4ヶ月半後、美羽は真矢に真実(弓子はいない)を告げた。
真矢「美羽ちゃん、お姉ちゃんたちは?」
美羽「みんなここにいるよ」
『EXODUS』26話

千鶴はこそうしと話している時、真矢に言葉を残した。
千鶴「与えたかったのは生きる力よ」
『THE BEYOND』6話
その後、千鶴はいなくなった。真矢は千鶴がいなくなった場所に行った。

史彦は真矢に真実(千鶴はいない)を告げた。
真矢「真壁司令、母はどこですか」
史彦「私が今いるここでいなくなった。
すまない」
『THE BEYOND』7話
千鶴は死を覚悟していたので、生前、真矢に言葉を残しました。それに対して、弓子は死後、真矢に物を残したことから、弓子の死は弓子自身が死ぬことを考えていない時に起きた出来事、つまり想定外の出来事だったのです。
●家族の遺産
弓子は自分で真矢に自分の遺産(銃)を託し、真矢はそれを受け取った。
弓子「真矢、あなたが持ってて」
真矢「えっ」
弓子「使い方は教わってるでしょ。お願い」
真矢「うん」
『EXODUS』10話

真矢はハバロフスクで人類軍に捕らえられ、捕虜になった。しかし、ヘスターは真矢にミツヒロが人類軍に残した遺産を見せ、それを受け取らせようとした。
ヘスター「あなたには多くを知ってもらうわ、真矢。
父親の意思を継いでもらうために」
『EXODUS』22話
しかし、真矢はヘスターからミツヒロの遺産を受け取らず、ここ(ダーウィン基地)にいないことを選んだ。

合同葬儀の後、真矢はいなくなった千鶴から料理を渡されたように感じたが、料理を真矢に渡したのはこそうしだった。


真矢は千鶴の料理の味を知っているこそうしから千鶴の遺産(料理)を受け取り、ここ(竜宮島)にいることを選んだ。
こそうし「君ん家だと家事の分担が不公平だ。
僕がほとんど料理してるじゃないか」
美羽「総士がこだわるからでしょ」
真矢「分担は減るよ。
あたしも住むから」
『THE BEYOND』12話
『ファフナー』では真矢に対して、弓子、ミツヒロ、千鶴から遺産を渡されるシーンが描かれました。この三人の遺産相続を通して描かれたものは、本人から直接、渡される遺産を断るのは難しいのに対して、他人から渡される遺産は受け取らないことができるというものでした。事実、ミツヒロの遺産を拒否することで、真矢には受け取らないという選択肢が生まれ、その後、千鶴の遺産を受け取ることを選びました。
●親殺し
真矢はミツヒロの情に訴えることで、ミツヒロの価値観を否定した。
真矢「お父さん、なんでみんなのこと、そんなふうに言うの」
ミツヒロ「それが現実だからだよ、真矢」
真矢「みんな、家族のこと、好きだよ。
それは現実じゃないの」
ミツヒロ「視野が狭い、もっと広い視点で物事を見なさい」
真矢「日野のおじさんが死んだこと、お父さん悲しいと思う」
ミツヒロ「彼は結局そこまでの人間だったんだよ」
真矢「あたしね、お父さんのカメラ使ってるの。
ミツヒロ「カメラ?
ああ、あんな幼稚なのよりお前にはもっと素晴らしいものを与えよう」」
一期18話
しかし、真矢の言葉はミツヒロの考えを変えることはできず、真矢はミツヒロに別れを告げた。
ミツヒロ「よく考えるんだ、真矢。
ここの連中はまがい物の平和にしがみつく愚か者の集まりだ」
真矢「さよなら、お父さん」
一期18話
5年後、真矢はヘスターに対して、情ではなく事実を突きつけることで、ヘスターの価値観を否定した。
真矢「あなたは平和を捨てた人。
あたしの父も。
あたしもそう。
生きるために。
誰かを助けるために。
それ以外の人たち全部犠牲にできる人」
『EXODUS』23話
真矢の言葉はヘスターの考えそのものでした。そのため、真矢の言葉はヘスターの考えを変えさせ、ヘスターは交戦規定アルファを撤回した。
ヘスター「交戦規定アルファを撤回します」
『EXODUS』23話
フェストゥムとの戦いが終わった後、竜宮島にやってきたのはヘスターではなく、孫のアレクサンドラでした。つまり、真矢はミツヒロと価値観を共有していたヘスターを今いる立場から引退させるという形で、親殺しを行ったのです。
●終わりに
真矢にとって、ファフナーに乗っている間に経験したことは、子どもから大人になるための通過儀礼でした。そのため、真矢がファフナーに乗ることは、子ども時代の終わりの始まりを意味し、ファフナーから降りることは、子ども時代が終わり、大人になったことを意味していました。つまり、なかなかファフナーから降りられない真矢がファフナーから降りた時、つまりなかなか大人になれない真矢が大人になった時、ファフナーに乗った子どもたちは全員、いなくなりました。これが『ファフナー』という物語が終わりだったのです。