【物語の読み方】考えを理解する

 『EXODUS』と『THE BEYOND』は宇宙からミールが到来してから約40年後の人間とフェストゥムの姿を描くことに徹し、その背後にある社会の描写は最低限にとどめました。これはフェストゥムが地球にやってきた後、人類が作った社会について視聴者自身が考える物語になっていることを意味しています。視聴者がこの物語の中で描かれた状況を体験して登場人物の考えを理解した時、一歩進むことができます。その一歩を積み重ねていくといつしか、これまで意味のわからなかった部分が理解できるようになります。

 私がこの物語を理解する参考にしたものは一覧表にして公開しましたが(参考資料リストを参照)、以下に具体的な内容(自分の目で見たもの、映画、物語)を紹介します。

 

  • 『EXODUS』8話でCCTS(キャリースラスター)を見た時、V2ロケットを思い出しました。V2ロケットは昔、ロンドンの帝国戦争博物館で現物を見ました。
  • 『EXODUS』17話、戦時下であるにもかかわらず夏祭りが行われましたが、1994年12月、紛争中のサラエボでライブを実現するまでの過程を描いた『サラエボの叫び』(2017年)というドキュメンタリー映画を見た時、その意味を理解しました。
  • 『THE BEYOND』2話のラストのこそうしの台詞「殺してやる。お前を殺してやる」を聞いた時、ソポクレスの『オイディプス王』を思い出しました。『THE BEYOND』は、こそうしがオイディプス王にならないようにする物語だと考えました。

 

 登場人物の考えを理解していくことを続けた場合、その先には何があるのか。多くの人が知りたいであろう『EXODUS』24話、つまり竜宮島ミールが一騎を祝福した後、一騎が何を考えて行動していたのかがわかるようになります。