2022年7月に一期を見直した後に書いた『THE BEYOND』の感想です。
●故郷を失う
『THE BEYOND』2、3話、操は命令に従い、こそうしの故郷である偽竜宮島を破壊した。しかし、操は存在しているものがなくなるという経験をしたことがないので、偽竜宮島を破壊するという行為に対して何の感情を持っていなかった。操の考えをこそうしが言葉にしていた。
こそうし「僕が失ったものがわからないんだ」
『THE BEYOND』6話
『THE BEYOND』6話、操は自分が見た未来を容子に告げた。
操「お母さん。
僕ね、もうすぐ死ぬみたい」
『THE BEYOND』6話
容子が操に言った言葉はきつかったが、操はこの時の後の容子の心を読んだ。そして、存在しているものがなくなる時の感情を知った。
操「母さんは僕が死ぬのが嫌なんだ」
『THE BEYOND』6話
操は存在しているものがなくなる時の感情を知ってしまったので、この後、戦場に立っている時、容子がいなくなることを恐れるようになった。
操「このままじゃお母さんが危ないよ」
『THE BEYOND』7話
操「どうするの。
お母さんが危ない」
『THE BEYOND』9話
操は存在しているものがなくなるという感情を理解した後、マークレゾンが空母ボレアリオスを一撃で破壊し、操は故郷を失った。
この時、操はこそうしが空母ボレアリオスの甲板で操が偽竜宮島を破壊する音を聞いた時の感情を体験した。
操「僕のミールが」
『THE BEYOND』10話
こそうしが偽竜宮島を消した海神島のファフナーと戦ったように、操は空母ボレアリオスを消したマークレゾンと戦い始めました。
操「母さんたちを守らなきゃ」
『THE BEYOND』10話
●見えない
操は生まれた時、空が見えていた。
操「空。命。きれいな空」
『EXODUS』21話
操は空母ボレアリオスが消滅した後、容子を守るためにマークレゾンを攻撃した。しかし、操の力ではマークレゾンに力及ばず、マークレゾンは操を同化し始めた。操は生まれてからずっと見えていた空が見えないという状態になった。
操「空が見えない」
『THE BEYOND』10話
操はスフィンクス型の来主操が空がきれいだと思った時の感情を体験した。きれいな空を失った時、空がきれいだという感情を体験した。
●里奈
『THE BEYOND』1話、里奈の心はセレノアの作った世界に閉じ込められたが、そこは里奈自身の望み(暉は生きている&ファフナーに乗る必要がない)のかなった世界だった。そのため、里奈はセレノアが作った世界から出たい、という感情を持っていなかったのではないだろうか。
●理解できないもの
「古文・漢文“不要論”めぐり議論沸騰…問われる、中学・高校で必修にする意味と必要性」に以下のような一文がある。
「古典・漢文の場合でいうと『テキストを普通に読んでも理解できない』という体験ですね。これが身に染みているかいないかで、その後の人生が劇的に変わると思っています」(読書猿氏)
一期の一騎と『THE BEYOND』のこそうしを通して描こうとしたテーマは「理解できないものに出会うこと」だった。
・一騎と総士
一騎は言葉で総士に疑問を投げかけた。
一騎「ファフナーと俺たち、お前にとってどっちが大切なんだ」
一期10話
総士は一騎の質問に対して、言葉で返事を返した。
総士「ファフナーだ」
一期10話
一騎にとって「ファフナーだ」という総士の言葉が理解できないものだった。一騎は総士の言葉を理解するために、竜宮島の外の世界を見に行くことを選んだ。そして、総士の言葉の意味を理解した。
一騎「だけど、今は、少しだけ、わかった気がする」
総士「何がわかった」
一騎「お前が、苦しんでたことが」
一期15話
・こそうしと一騎
こそうしは言葉で世界に疑問を投げかけた。
こそうし「僕は知りたい。
海の向こうには何があるのか。
世界は本当はどうなっているのか。
誰か教えて下さい」
『THE BEYOND』2話
一騎はこそうしの質問に対して、行動で返事を返した。
こそうしにとって、フロロの言葉に耳を貸すことなく、フロロを消したという一騎の行動が理解できないものだった。この後、こそうしは海神島に連れていかれ、今の自分の力では一騎に勝つ力がないことを理解し、一騎に勝つための勉強し始めた。一騎に勝つための勉強をすることで、こそうしは一騎の行動を理解した。
こそうし「この島と、僕のためにやったんだろう。
許しはしないけど、理解してやらなくもない」
『THE BEYOND』10話