蒼穹のファフナー THE BEYOND 第4~6話の感想 Part6

 『THE BEYOND』第4~6話、公開4週目の週末に見た後の感想です。

 

・ご飯

 テレビを見て踊っている衛とフェイに咲良が声を掛けた時、フェイはこう答えた。

フェイ「ご飯」
『THE BEYOND』4話

 一期16話、竜宮島が人類軍によって占領され、スタッフはアルヴィス内に軟禁されていたが、突然、扉が開いた時、衛が同じ台詞を言っていた。

  衛「ご飯」
一期16話

 

・史彦と千鶴、一騎と真矢

 一騎は第四次蒼穹作戦の後、一騎はこそうしの行方を探しに出かけ、海神島の外で多くの時間を過ごすようになったのではないだろうか。皮肉なことにこそうしがいなくなったことで一騎は親になったことで史彦の元から自立し、いつの間にか真壁家は一騎の帰る場所ではなくなっていた。

史彦「俺の願いはこの家がいつまでもお前の帰ることのできる場所であることだ」
『HEAVEN AND EARTH』

 史彦の家が一騎の帰る場所ではなくなったので、史彦と千鶴の関係が進展したのではないだろうか。

冲方「単純な話、誰か一人が欠ければね、片方は繋がるんですね。そういう話なんですよ」
「蒼穹のファフナーEXODUS」スペシャルイベント-痛み-

 史彦、一騎、千鶴、真矢の4人の内、一騎が欠けたので史彦と千鶴の関係が進展した。しかし、『THE BEYOND』6話で千鶴が欠けたということは、この後、一騎と真矢の関係が進展するのだろうか。

 

・一騎の役割

こそうし「君にも真壁一騎にも負けないからな」
『THE BEYOND』6話

 マリスに連れ去られる前まで一騎がこそうしを育てていたことを考えると、こそうしにとって一騎に勝つということは、妹の仇討ちと同時に親を乗り越えて真の自立を勝ち取ることを意味している。ワーグナーの楽劇『ジークフリート』でブリュンヒルデの元に向かうジークフリートの前に立ちはだかるヴォータンが、一騎と全く同じ役割を果たしていたことを思い出しました。(楽劇『ワルキューレ』でヴォータンはジークフリートの父親のジークムントを殺害しています)

  ヴォータン:この槍がお前の道を封じる!――
        まだ,わしの手には
        支配のよすがの槍がある。
        お前が揮っている剣を
        かつて,この槍が砕いた。
        さらば,いま一度,この
        永遠の槍で砕けよ!
ジークフリート:父の仇だな!
        ここで出会おうとは?
        素晴らしい敵討ちの
        機会ができたぞ!
        槍を振り回すがいい,
        この剣で,粉々にするぞ!
楽劇『ジークフリート』第3幕第2場(※1

 この直後、ジークフリートの剣がヴォータンの槍を真っ二つに折り、ヴォータンはその場を立ち去ります。

 

・人間とフェストゥム

 海神島にやってきたレガートと一騎が話しているが、ただ事実を述べるだけの一騎よりも感情をむき出しにしたレガートの方が人間に見える。

レガート「次に会う時は苦しまずに破壊してやる」
『THE BEYOND』5話

 一騎とレガートの双方が戦いたくないという気持ちを持っているため、レガートのこの言葉からは一騎に対する慈悲さえ感じる。

 

・過去との決別

○アルヴィス

   舞「ほっぺにお弁当ついているよ」
こそうし「よけいな真似をするな」
  ベラ「ちっちゃいころを思い出すわ」
 シャオ「大きくなっても変わらないわよ」
『THE BEYOND』3話

   彗「全員で子どもをしつけるぞ」

  零央「お仕置きの時間だ、総士」

 美三香「どすこい」
『THE BEYOND』4話

 『THE BEYOND』3、4話でアルヴィスの人間がこそうしに接する態度はこそうしが連れ去られた3年前、つまり2歳の時のままである。ルヴィはこそうしをマークニヒトに乗せ、こそうしが海神島を滅ぼそうとする姿を見せることで、アルヴィスの人々が知っているこそうしはもういないことを教え、さらにアルヴィスの人々の時間を進めようとしたのではないだろうか。美羽がこそうしを眠らせることでなんとかこそうしを止めることができたが、アルヴィスの人々は悟ったはずだ。私たちの知っていたかつてのこそうしはもういないと。

 

 こそうしと2歳まで一緒に暮らしていた一騎はこそうしを偽竜宮島から連れ戻す時、こそうしの心を傷つける行為(こそうしの目の前で妹を同化した)をしてしまったため、海神島に帰ってからは真矢にこそうしを委ねた。

一騎「あいつを頼む」
『THE BEYOND』4話

 一騎からこそうしのことを委ねられた真矢もこそうしと暮らすことはせず、他にこそうしと一緒に暮らしたいと名乗り出る者もいなかったため、こそうしは一人でアルヴィスで暮らしていた。その時、積極的にこそうしと一緒に過ごそうとしたのは美羽だけだった。

 

○こそうし

こそうし「僕は捕虜なんだから」
『THE BEYOND』4話

 こそうしは理由を作って、アルヴィスの人々と積極的に関わることなく、アルヴィス内で一人で暮らしていた。『THE BEYOND』5話、マリスがこそうしの部屋にやってきた。こそうしはマリスに自分で真実を知る道を選んだと告げ、マリスを拒否。そのため、マリスはこそうしが2歳の時と同じく、眠らせた後、記憶を消して連れ去ろうとした。しかし、竜宮島ミールのコアがマリスを止めたため、こそうしは眠りから目覚め、マリスを拒否した。こそうしはマリスの真実の姿を見たことで過去と決別し、意地を張るのをやめた。

美羽「うちに来ていいんだよ、総士」
『THE BEYOND』5話

 こそうしは美羽の言葉を素直に受け入れ、遠見家で暮らすことになった。

 

○真矢

真矢「まだ本人かわからない。
   ちゃんと調べてもらわないと」
『THE BEYOND』3話

 真矢にとって3年ぶりに再会したこそうしとは「3年前、マリスに連れ去られフェストゥムに育てられた竜宮島に帰るための道しるべ」に過ぎなかった。真矢はこそうし自身について何も知らないという態度を取っていることから、第五次蒼穹作戦でセレノアに右眼の視力とともにこそうしと暮らした2年間の記憶を奪われたのではないだろうか(※2)。しかし、この状況でこそうしについて何も知らない状態というのはプラスであり、アルヴィスの中でもっともフラットな状態でこそうしと接することができた。美羽からの誘いに応じたこそうしは遠見家で暮らすことになったが、真矢は家族としてこそうしに接することで、こそうしという人物についてゼロから知っていくことになった。その結果、アルヴィスの中でもっとも早くこそうしを理解したのは真矢だった。

こそうし「銃で脅したあなたを憎めなかった。
     あなたは僕を信じてくれた。
     だから」
  真矢「みんな、君を信じているよ」
『THE BEYOND』5話

 真矢のこの言葉によってこそうしはアルヴィスを見る視点を変え、それが未来を切り開く原動力となった。

 

・こそうしを変えた言葉

  美羽「一騎お兄ちゃんは総士のために」
『THE BEYOND』5話

 一騎がこそうしの妹の乙姫を奪ったことに対して、美羽は一騎の事情を説明するが、残念ながら美羽の気持ちはこそうしには伝わらない。

こそうし「銃で脅したあなたを憎めなかった。
     あなたは僕を信じてくれた。
     だから」
  真矢「みんな、君を信じているよ」
『THE BEYOND』5話

 「みんな、君を信じている」という真矢の言葉と「一騎お兄ちゃんは総士のために」という美羽の言葉がつながったことで、こそうしは「一騎はこそうしを信じているからこそ、こそうしのために乙姫を消した」と理解したのではないだろうか。この出来事が起こる前、美三香がこそうしに言った台詞を思い出した。

 美三香「憎しみには理解する気持ち」
『THE BEYOND』5話

 この後、こそうしはマークニヒトの中にあった戦闘記録を見たことで一騎に対する見方が変わった。

こそうし「君にも真壁一騎にも負けないからな」
『THE BEYOND』6話

 

 

※1 ワーグナー『ニーベルングの指環 第二日 ジークフリート・第三日 神々の黄昏』下(音楽之友社)より引用。

※2 フェストゥム達はセレノアが真矢から奪った「こそうしと暮らした2年間の記憶」を元にこそうしを育てたのかもしれない。