蒼穹のファフナー THE BEYOND 第4~6話の感想 Part4

 『THE BEYOND』第4~6話、公開3週目の週末に見た後の感想の前半です。

 

・初見時の『THE BEYOND』第6話

 『THE BEYOND』第4~6話では初見時、黒で描かれる夜の闇の描写の気を取られていたので、艦の底からマリスがアルへノテルス型を侵入させた時は電源が落ちて真っ暗という描写に気を取られ、気がついたら6話が終わっていたという状態でした。

 

・人間の死

道生「君の喜びも、幸せも、君だけが持つたくさんの思い出も、すべて消える。
   君はもう誰とも会えない。
   それでも怖くないのか」
美羽「だって、美羽がやらなきゃ。
   みんなを助けられる人はどこにもいないから」
『THE FOLLOWER』

 美羽は生まれる前に父、道生を、4歳の時に母、弓子と友達のエメリーを亡くしたが、あまりにも幼すぎて人が死ぬこと、つまり永遠に失うことの意味がわかっていなかった。『THE BEYOND』6話で千鶴が亡くなったが、千鶴の死を通して美羽は「失う」ということの本当の意味を理解するのだろう。

 

・美羽と総士

美羽「美羽、いなくなってもいいから。
   美羽の声を届けて、お願い」
『THE FOLLOWER』

 世界を救うことためなら自分を犠牲にしてしまうことに迷いのない美羽はかつての総士と同じである。竜宮島を守るために自分を犠牲にする総士を批判したのは真矢だけだった。

総士「これは甲洋の、自分で招いた結果だ。
   お陰でファフナーを失った。
   感傷に浸る暇はない」
真矢「なんでそんなこと言うの。
   最後に春日井君と話せたのあなただけなんだよ。
   なにも感じないの」
一期10話

総士「君は、君が今戦う必要はない」
真矢「そう。
   皆城君、どうして、どうしてそう言ってあげないの、一騎君にも」
総士「言えるものなら、とっくに言ってたさ」
一期12話

真矢「皆城君も約束して。
   一騎君と今度こそちゃんと話し合うって」
一期13話

 また、躊躇なく自分を犠牲にする総士を止めようと声を掛けたのは保だけだった。

織姫「総士、一騎、今すぐ美羽を守りに行きなさい

 保「待ってくれ。
   それはマークザインとマークニヒトに二人を乗せろってことか」
『EXODUS』6話

 しかし、真矢の言葉も保の言葉も総士には届かなかった。

 『THE BEYOND』6話、美羽の前に現れた操は母、容子が悲しむのを見たくない、もっと生きたいので美羽を食べたいと訴えた。美羽は片手くらいならいいよならと操の要求に応じたが、その様子を見ていたこそうしは自分を大切にしない美羽を批判し、妹を奪われた悲しみも理解できないとと美羽に言った。しかし、美羽はこそうしの言葉が全く理解できなかった。一期の真矢と同じく、批判するだけでは他人を救うために自分を犠牲にすることに躊躇しない人を止めることはできない。

美羽「島に帰れたら
   ママやエメリーがしたこと
   美羽もするだけだもの。
   一人で大丈夫」
『THE BEYOND』6話

 美羽はさらっとルヴィに言っていたが、こそうしがこの状況を目の当たりにした時、美羽に対してどのような行動を取るのだろうか。

 

・総士の望み

 こそうしは司令を交渉した結果、ベノンとの戦闘に参加することになった。出撃する前、ニヒトの前で真矢、零央、美三香、美羽がこそうしを出迎えるシーンを見て、14歳の総士が望んでいた初陣はこれだったのだ。しかし、実際には戦闘経験のあるパイロットは全員死亡、総士はファフナーに乗ることさえできなかった。

総士「CDC、あそこにいるのは実戦を経験した機体とパイロットです。それらのデータを回収すれば僕らの力は飛躍的に向上し、的に襲来にも対抗できます」
公蔵「……総士」
総士「敵と戦う力を手に入れる絶好の機会を、みすみす見逃すんですか! 何のためのファフナーですか!」
『RIGHT OF LEFT』

 こそうしを通して、私はこの時の総士の気持ちをやっと理解することができた。

 

・フェストゥムになる

皆城総士
一度失った肉体は取り戻せず、人の心とフェストゥムの体という、極めて特殊な状態に生まれ変わった。
『EXODUS』BD-BOXブックレット

 総士は体を同化されて肉体を取り戻すまで2年間、その心はフェストゥムの世界にいた。人間の心でフェストゥムの世界を理解するのは無理だったが、フェストゥムの世界に触れたたため、フェストゥムの体に対する違和感はなかったのではないだろうか。

 一方、一騎は竜宮島ミールの祝福を受けたことにより、人間の心を持ったまま、体がフェストゥムになった。フェストゥムの体の感覚は人間とは全く別物で、普通は耐えられないのではないだろうか。

千鶴「相手のために自分はこうありたいという
   より上位の自己意識が一騎君と総士君の間で強く働いています」
一期22話

 マークザインに乗った時と同じく、一騎は総士という存在故に人間とは全く異なるフェストゥムの体の感覚を受け入れているのだろう。

 

 一騎は全身が溶けたゴムのように感じられるマークザインに乗ることができ(※1)、フェストゥムと同じ体になっても生きていけるということは、北極ミールが砕け散る前のフェストゥムと同じように(※2)一騎自身には個がなく、一騎にとっての個は総士という存在そのものなのかもしれない。

 

・操の気持ち

 未来が見えた操は容子に死ぬと告白した。その後の操の言動は容子を怒らせてしまったが、死ぬとお母さんが悲しむという気持ちだけは理解し、美羽のところへ行った。操は美羽に食べさせてほしいとお願いし、美羽は片手だけならと答えた。しかし、美羽の行動を批判するこそうしの言葉を聞いて、操は船に去っていった。

操「ぼく、一人で死ぬね」
『THE BEYOND』6話

 船に戻った操はこう行ったが、この時の操の心境を表す台詞はこれではないだろうか。

衛「よし、もう誰も悲しませない」
一期22話

 操は誰かが悲しんでまで自分が生き続けたいとは思わなかったので、死という運命を受け入れたのではないだろうか。

 

 

※1 一期22話、容子の台詞「そのために全身が溶けたゴムのように感じられてしまうと」。

※2 一期26話、総士の台詞「ミールは己の死を以って、個体であることを与えた」