蒼穹のファフナー THE BEYOND 第4~6話の感想 Part16

 『THE BEYOND』2巻を見た感想をまとめました。

 

・”祈ろう” から “約束しよう” へ

 史彦は『HEAVEN AND EARTH』と『EXODUS』で「祈ろう」という言葉を多用していた。

  史彦「今は、この平和が続くことを祈ろう

  史彦「総員の生存と再会を祈ろう
『HEAVEN AND EARTH』

  史彦「彼らの希望が我々の中核たる存在にとっても有益であることを祈ろう

  史彦「新たな戦士たちの健闘と生存を祈ろう
『EXODUS』3話

  史彦「期間は一ヶ月、旅の無事を祈ろう
『EXODUS』5話

  史彦「両名と派遣部隊の帰還を祈ろう
『EXODUS』8話

 史彦が「祈ろう」という言葉を多用していた理由はカノンと総士の台詞の通して描かれていた。まず、アルヴィスは隙きあらば、竜宮島を消そうとする新国連、人類軍を信じることができなかった。

  総士「信用できないと思ったら、即、撤退しろ」
『EXODUS』5話

 アルヴィスは自分たちの武器であるファフナーもパイロットを同化してしまうため、信じることができなかった

 カノン「一騎の体を蝕んだ、化け物だ」
  容子「それがファフナーなのよ、カノン」
『EXODUS』4話

 アルヴィスが信じることができたのは、竜宮島の住人のみだった。

  総士「少なくとも味方は竜宮島だけだ。
     孤立無援でどこまで行けるか」
『EXODUS』15話

 その結果、アルヴィスの司令官である史彦にできることと言えば「祈る」ことだけだった。史彦が最後に「祈ろう」という言葉を使ったのは、亡くなった高速機の搭乗者を弔う時である。

  史彦「皆で冥福を祈ろう
『EXODUS』16話

 その高速機はシュリーナガルからダッカに向かった一行がダッカを目の前にして人類軍と戦闘を行った後、竜宮島に最新の情報を知らせるために溝口が送り出したものだった。その高速機を見送った後、美羽と総士が援軍を呼んだ。

エメリー「皆城にお願いがあります」
  総士「僕に?」
  美羽「総士お兄ちゃんとなら呼べるから」
  総士「呼ぶ?」
エメリー「私たちの援軍を」
『EXODUS』15話

 つまり、高速機は竜宮島に情報だけでなく、援軍をもたらす存在であり、高速機が送った情報を竜宮島が受け取った時、竜宮島の孤立無援な状態が終わったということを意味していた。そのため、史彦の亡くなった高速機の搭乗員を弔う言葉とともに「祈ろう」という言葉も葬ったのである。

 アルヴィスと新国連と独立人類軍との間に協定が結ばれた結果、アルヴィスにとって新国連と独立人類軍は信頼できる組織となり、交渉と取引が可能になった。

  史彦「かねてからの協定に基づき、
     我々が行動に出ることをお伝えする。
     行き先はまだ不明だが、太平洋圏を移動することになる」
『THE BEYOND』4話

 そのため、史彦は新国連と独立人類軍に対して行う行為についていう言葉が「祈る」から「約束」へと変わった。

 史彦「我々の航路は随時、知らせる。
    この行動が互いの利益になることを約束しよう
『THE BEYOND』4話

 

・亡霊

 マレスペロはベイグラントのコアだった時、シュリーナガルを訪れた派遣部隊の前に姿を表し、たが、すぐに姿を消した。

 ミツヒロ(ベイグラントのコアから作られたパペットである)はこの子どもについて以下のように説明した。

 ミツヒロ「ただのグレゴリ型だ。
      同化された人間の心が幽霊のようにさまよう」
『EXODUS』6話

 グレゴリ型は一騎と真矢の前にも姿を表した。一騎はミツヒロの言葉を聞いていないにもかかわらず、グレゴリ型を「幽霊」と表現していた。

   一騎「幽霊みたいな奴がいた」
『EXODUS』14話

 

 ベイグラントのコアの肉体はプロメテウスの岩戸に閉じ込められていたが、その心は体から離れて自由に動き回っていた。人間は心と体が一体となっているため分離することが不可能であるが、フェストゥムにとって体とは器に過ぎず、心と体が一体になっていないため、心だけで自由に動き回ることが可能なのではないだろうか。そのため、ベイグラントのコアは人間の「心と体が一体となっているため、分離することが不可能」という特質を利用して、プロメテウスの岩戸に体を置いておくことで、表向きは新国連に支配されているように見せかけていたのである。

 『EXODUS』22話ラスト、プロメテウスの岩戸に閉じ込められていたベイグラントのコアは体を同化して無に還し、心だけの存在なった。この時、ベイグラントのコアの見た目と本当の姿が一致したということになる。

 肉体がなく、心だけの存在となったベイグラントのコアをミツヒロや一騎と同じく、総士も「亡霊」と表現していた。

   総士「コアの亡霊よ、感じるか」
『EXODUS』26話

 

 マリスはこそうし、ノエル、メイを連れ去った時、ファフナーを一機奪っていった。

 その機体の名前は “Mk-Eins-re:Specter”。”Specter” は英語で「幽霊、亡霊」を意味する単語である。第五次蒼穹作戦以降、この機体に乗っているのはレガート、つまりフェストゥムが乗っていることから、フェストゥムは「幽霊、亡霊」ということを表しているのではないだろうか。

 

 ベイグラントのコアは『EXODUS』22話ラストから『THE BEYOND』1話まで肉体のない、心だけの存在だったが、その後、肉体を作り、再びこの世に実体化した。

  マリス「体を作ったんだね、マレスペロ」
マレスペロ「この方が戦いを学びやすい。
      ファフナーだって乗れるよ」
『THE BEYOND』5話

 フェストゥムとは「幽霊、亡霊」と呼ばれるように心だけの存在である。器たる体にフェストゥムの心を入れた時、フェストゥムはこの世に実体する存在になるのではないだろうか。

   澄美「単体密度2.33、原子量28.0855、陰性度1.8、質量固定。
      フェストゥム実体化します」
一期1話