『THE BEYOND』2巻を見た感想をまとめました。
・真矢の本心
こそうし「またあのファフナーに乗りたい。
真矢「島を壊したい?
痛い目に会うだけよ」
『THE BEYOND』5話
真矢がこう答えた理由はドラマCD『STAND BY ME』の中にある。真矢は小さい頃、翔子の外に出たいという望みをかなえた時、翔子を失いそうになるという経験をしていた。
真矢「あたしね、小さいころ、翔子を連れ出して山に行ったの。
だって翔子、ずっと部屋にいて、外に出たいって言っていたから。
最初は元気だったのに、翔子、山で急に真っ青になって、
体がどんどん冷たくなって、動けなくなって、
大人の人もいなくて、二人っきり。
あたし、もう少しで翔子を」
ドラマCD『STAND BY ME』
真矢はこそうしのファフナーに乗りたいという望みをかなえると、翔子の時と同じようにこそうしを失ってしまうと考え、真矢はこそうしの話を聞くことなく、一方的に話を終わらせようとしたのではないだろうか。しかし、すでに海神島の位置をベノンに知られており、一刻も早くこそうしをマークニヒトに乗れるように教育しなければ、竜宮島に帰る前にベノンに滅ぼされてしまう。それ故、総士は真矢の言葉に意義を唱えた。
総士「そうとは限らないぞ」
『THE BEYOND』5話
・フェストゥムの工作員
一騎がこそうしの妹、乙姫(フロロ)を同化した後、こそうしは乙姫(フロロ)を同化した一騎に言葉をぶつけた。
こそうし「殺してやる。
お前を殺してやる」
『THE BEYOND』2話
真矢がビリーの兄、ダスティンの乗っているファフナーを破壊した後、ビリーは殺した真矢ではなく、殺された兄、ダスティンに言葉をかけた。
ビリー「兄さん、返事をしてよ、兄さん」
『EXODUS』23話
こそうしは見知らぬ人(一騎)に家族(乙姫)を殺されたので、家族(乙姫)を殺された時に感じた感情を殺した人(一騎)にぶつけたが、ビリーは知っている人(真矢)に家族(ダスティン)殺されたので、家族(ダスティン)に殺された時に感じた感情を、殺された人(ダスティン)にぶつけた。ビリーはこそうしのように家族(ダスティン)に殺された時に感じた感情を、殺した人(真矢)にぶつけることができなかった。
ダーウィン基地を制圧したベイグラントのコアはアイを使って、ビリーが真矢にぶつけるべきだった感情を引き出した。
アイ「真矢の銃よ。
仇を討ちなさい、ビリー」
『EXODUS』25話
アイはビリーの心に兄、ダスティンを殺したのは真矢という「真実」を教えた上で、「仇」という言葉を与えた。その結果、「仇」という言葉からビリーの心の中に真矢に対する「憎しみ」という感情が生まれた。この時、ビリーだけでなくキースも開放したが、キースの心は先の戦闘で真矢に対する「憎しみ」に支配されていた。
キース「殺す。
絶対に殺してやる」
『EXODUS』23話
ダスティンが工作員を使って一騎を暗殺しようとしたのと同じく、ベイグラントのコアはキースとビリーの真矢に対する「憎しみ」という感情を使って、真矢を暗殺するための工作員に仕立て上げたということになる。ビリーはマークジーベンを認識する度にアイから与えられた「仇」という言葉を口にするたびに、心の中にある「憎しみ」という感情を育っていったのではないだろうか。
キース「いたよ、Dアイランドの死神が」
ビリー「兄さんの仇」
キース「死神が、消えちまいな」
ビリー「兄さんの仇」
『EXODUS』26話
キースがマークジーベンに取り付き、フェンリルを放って相打ちにするという作戦は失敗。この時、キースは死亡したが、ビリーは真矢に助けられた。第四次蒼穹作戦終了後、海神島に降り立ったビリーは真矢に銃を向け、こう言った。
ビリー「真矢。
兄さんは正しい人だった。
アイもミツヒロも。
なのに、なにが正しいかわからない」
『EXODUS』26話
この時、ビリーの心はフェストゥムが植え付けた「真実」と「仇」という言葉から生まれた「憎しみ」という感情で一杯だったのではないだろうか。
ケイオス・バートランドは言葉巧みに人間の心を「憎しみ」という感情で満たし、その感情を取り出してソルダードと呼ばれるファフナーに乗る兵士を作り出していた。
ケイオス「お前の憎しみが我々の糧となる。
ともに連なれば、この地の人間は生かそう」
アナン「信じられるものか」
ケイオス「信じろと言ったか。選べ」
アナン「私以外の者は助けてくれ」
ケイオス「私はお前を祝福する」
THE BEYOND』5話
零央は戦場でソルダード化した兵士の乗ったファフナーを攻撃してソルダード化された兵士を消す時、こう言った。
零央「人間だった誰か。
成仏させてやれ」
『THE BEYOND』6話
溝口はビリーの心が「憎しみ」で満たされ、フェストゥムの工作員としての役割を果たす直前、ビリーを射殺した。つまり、溝口はビリーが人を殺すという罪を犯す前に殺したということになる。それは溝口がビリーに与えることのできるたった一つの慈悲だったのだろう。