蒼穹のファフナー THE BEYOND 第2話-1「楽園の子」

 2019年5月17日から劇場先行上映された『蒼穹のファフナー THE BEYOND』1~3話のうち、第2話の感想です。劇場で販売されたパンフレットの内容も含みます。

 文中引用した台詞は劇場で聞き取ったものであるため、間違っている部分が多々あると思われます。ご了承ください。

 

・目覚め

 海辺の常夜灯の下で眠ってしまったこそうしは夢を見る。その夢の中でこそうしは二人の乙姫(従姪である竜宮島のコア)と一騎に出会った。『EXODUS』で里奈は眠っている時にゴルディアス結晶の記憶を見ることができたことを考えると、こそうしは自分自身のことを知らない状態でも、竜宮島のミールの問いかけには応じることができたのかもしれない(※1)。こそうしは竜宮島のミールの問いかけには応じ接触した結果、眠っていた本性が目覚めてしまった。竜宮島のコアと一騎と接触する前のこそうしは乙姫(フロロ)の「ダメ人間」という一言で表現されている。

 夕食時、こそうしは海から帰ってきた父(レガート)に島の外の世界について話をせがむ。島の外では味方であるベノア軍と敵であるエスペラント軍が戦い、ファフナーはベノア軍の主力兵器だった。しかし。こそうしの住む島は戦闘に巻き込まれず、平和であるため戦う必要がなかった。その理由をこそうしが両親(レガートとセレノア)に尋ねても答えられなかった。

セレノア「ここはずっと平和だもの」
こそうし「なんでわかるのさ。
     外の世界がどうなっているのか誰も知らないのに」
レガート「知る必要もないだろう」
『THE BEYOND』2話

 こそうしは家族との会話を通して、今住んでいる世界の矛盾に気がついてしまった。ベノアの軍艦が沖を通るという町内放送は流れるが、こそうしは一度もその姿を見たことがなかった。この後、こそうしは家にあった無線機を使って外の世界との交信を試み始めた。

 

・偽りの竜宮島の価値観

町内放送「皆さまにべノンの祝福がありますように」

 町内放送は「ベノンの祝福」という言葉を繰り返し流していた。

 マリス「でもベノンは違う。
     たとえ敵でも祝福を与えて仲間にする」
『THE BEYOND』2話

 マリスはこそうしに対して偽りの竜宮島の価値観について語ったが、これはフェストゥムの価値観そのものであり、こそうしはフェストゥムの価値観の中で育ったことを示している。『THE BEYOND』1話でセレノアが竜宮島のパイロットに対して “祝福” という言葉を使っていたが、フェストゥム自身が同化という行為を真壁紅音が言語化した “祝福” という言葉で表現するようになった。

 

・生徒会室のポスター

 生徒会室でマリスがこそうしにお祭りの概要を話している時、マリスの背景にある生徒会のポスターには「今こそ 船出の時」という文字がある。

 

・選択する物語

 偽りの竜宮島に来た一騎はこそうしを強引に連れ戻すのではなく、こそうしの今の生活を見た上で、こそうし自身の意思を確認した。

一騎「真実を知りたいか。
   知れば平和を失うかもしれない」
『THE BEYOND』2話

 かつて自分も偽りの平和の世界で暮らしていた一騎はおそらくこそうしの気持ちを理解できるため(※2)、こそうしに対して一応警告もした。しかし、「知れば平和を失うかもしれない」という一騎の言葉の言葉が逆にこそうしの怒りを招き、一騎はこそうしに真実を教えることを約束した。

 

・望み

 偽りの竜宮島のランタン飛ばしの行事は竜宮島(海神島)とは異なり、ランタンにお願いごとをするという行事なのだが(※3)、こそうしは以下のような願いことをつぶやいた。

こそうし「真実を知ることができますように」
『THE BEYOND』2話

 この物語で軽い気持ちで願いごとを口にしてはいけない。なぜなら言葉にした望みはかなってしまうのだから。

 

・こそうしの変化

 夢の中で竜宮島のコアと一騎に接触した後、こそうしの変わったことに気がついたのは、妹としてこそうしに毎日、接していたフロロ(乙姫)だけだった。こそうしは常日頃から外の世界への興味を語っていたため、レガートはこそうしの変化に気がつかなかった。

レガート「あの子が外の世界に興味を持つことは止めらないのかもしれない」
『THE BEYOND』2話

 

 偽りの竜宮島が見つかるはずがないと過信していたのか、こそうしの友人を演じていたマリスはこそうしのわずかな変化に気が付かなかった。マリスは島が攻撃されているのを目の当たりにした時、こそうしがいつの間にか目覚めてしまったことに気がついたのだろう。

 マリス「お前の言う通りだ、総士。
     敵が来たら戦わないといけない」
『THE BEYOND』2話

 

・一期1話と『THE BEYOND』2話

 『THE BEYOND』2話は一期1話の状況をすべて反転させたものになっている。

    一期 BEYOND
  主人公 真壁一騎 皆城総士(こそうし)
  話を聞く人 遠見真矢 遠見美羽
  世界状況 島の外も平和な世界 島の外は戦闘状態
  ファフナー 知らない 知っている
    ただし、無意識下では知っていた  
  訪問者 フェストゥム 真壁一騎
  問いかけ あなたはそこにいますか 真実を知りたいか
      知れば平和を失うかもしれない
  訪問者との会話 成立せず 無線を通して会話が成立
  同化 総士が一騎を同化しようとしたが 一騎が乙姫(フロロ)を同化
    一騎が拒否したため同化せず  
  敵の攻撃 島の外からフェストムが攻撃して 島の中からファフナーが攻撃して
    偽装鏡面を破壊 偽装鏡面を破壊
  外の世界 太陽が正反対の位置にある 月が2つある
  戦闘の勝敗 戦いに勝ち、主人公は島にとどまる 戦いに負け、主人公は島を出る

 こそうしには島で一緒に暮らしてきた人々よりも、人を結晶化させて砕き、ファフナーのコックピットには空間跳躍で移動する一騎の方が人外に見えるだろう。

冲方丁「一騎と総士の関係が、上手くフェストゥムと人類の関係になっています」
「冲方丁×プロデューサー座談会」(※4

 この冲方丁の発言から『THE BEYOND』では意図的に一騎がフェストゥムに見えるように描いていると思われます。

 

 

※1 『THE BEYOND』3話で剣司が「(総士は)竜宮島のミールとクロッシングできる可能性があった」と指摘している。

※2 『蒼穹のファフナー THE BEYOND』第1~3話パンフレットのKEYWORD【盂蘭盆、精霊流し】の項を参照

※3 ここでの一騎の心境は『THE BEYOND』3話で甲洋が代弁している。

※4 『蒼穹のファフナー Blu-ray BOX』付属のブックレットに掲載。