「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第1~3話の感想 Part13

 『THE BEYOND』を6話まで見た後、一期、『RIGHT OF LEFT』、『HEAVEN AND EARTH』に続けて『THE BEYOND』1話~3話を見直した感想です。『THE BEYOND』6話までのネタバレが含まれています。『THE BEYOND』第1~3話の感想はこれで一旦終了ということになります。

 

●パイロットを引退する

 一騎の同級生は親から自立し、親になった人からパイロットを引退していった。親を失った時期と親になった順に時期と状況を以下にまとめた。

 

・皆城総士

 総士は2歳の時、母を失い、一期2話で父を失った。

総士「君の名を僕は知らない。
   もし君がこの機体と出会うなら、それが君の運命となる」
『EXODUS』25話

 総士は織姫から生まれ変わると告げられたため、生まれ変わった自分、つまり子どもに遺言を残した時、親になった。『EXODUS』でこの世を去るという形でパイロットから引退し、機体は総士がいなくなった後、マークニヒトのコックピットに残されていた生まれ変わった自分自身である子ども(こそうし)が引き継いだ。

 

・真壁一騎

 一騎は2歳の時、母を失った。一騎は第4次蒼穹作戦が終了後、マークニヒトのコックピットで生まれ変わった総士(赤子)を見つけ、引き取った。マリスがこそうしを海神島から連れ去った後、一騎は海神島を出て、こそうしを探し続けた。一騎はこそうしをファフナーに乗せて偽竜宮島から連れ出し、空母・ボレアリオスの甲板に下ろしたその時、親になった(※1)。

 マークザインは第5次蒼穹作戦の時、美羽に譲った。

 

・近藤剣司、要咲良

 剣司は生まれてまもなく父を失い(※2)、母を一期23話を失った。咲良は一期1話で父を失い、『EXODUS』26話で母を失った。剣司と咲良は『EXODUS』19話で結婚し、以後、二人で暮らすようになった。咲良と剣司は第4次蒼穹作戦を最後にパイロットから引退。海神島に移住した後、剣司と咲良の間には子どもが生まれ、親になった。

 剣司は第5次蒼穹作戦を最後にシステム担当者からも引退した。

 

 「親を失う、もしくは親から離れる」、「親になる」の2項目が満たされた時、一騎の同級生はファフナーのパイロットから引退している。真矢は一期23話で父を失い、『THE BEYOND』6話で母を失った。『THE BEYOND』開始時点で真矢は母、姪と一緒に暮らしており、親にはなっていない。この後、真矢がファフナーのパイロットから引退するのは親になった時だろう。

 

●Time Stand Still

レガート「俺はあの子たちが好きだ。
     ずっと今のままでいたいと思う」
セレノア「私もそうよ」
『THE BEYOND』2話

 時の流れについて取り上げた RUSHの “Time Stand Still” の一節を思い出しました。

この瞬間を止めて
少しだけ長くしたい

Freeze this moment
A little bit longer

 この曲の歌詞の中に人間の世界とマレスペロが作った偽竜宮島が同じではないことを思い出させる一節があります。

子どもたちは成長していき —
旧友は年を取っていく

Children growing up —
old friends growing older(※3

 海神島から偽竜宮島に連れ去られた時とそれから3年後の姿を比較すると、幼児だったこそうしは少年に成長したが、こそうしの家族に扮していたレガート、セレノア、フロロとマリスの姿は変わっていない。おそらく偽竜宮島の住人の姿も3年間、変わっていないのではないだろうか。

 こそうし自身には時間が存在していることを表すかのように、こそうしの部屋には時計が置いてあった。

 

 

※1 ファフナーのコックピットは人間の女性の子宮の位置にあるため、一騎がファフナーを使ってこそうしを生んだと考えることができる。

※2 一期5巻のリーフレットの「実子と里子」の項に以下の記述がある。

近藤剣司
父・竜司は剣司が生まれて間もなく、フェストゥムとの戦闘により命を落としている。

※3 ”Time Stand Still” の原文は公式サイトから引用しました。