「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第10~12話の感想 Part2

 『THE BEYOND』第10~12話を見終わった後に感じたことをまとめました。

 

●設定変更

 映像で描いたものが正史、というガンダムのやり方を踏襲したと考えました。

 

●一期12話までの脚本

 『THE BEYOND』を最後まで見ると、一期の前半は冲方以外の脚本家が書くという方法はありだったのかもしれないと思うようになりました。しかし、その方法を取るのであれば、自分の知らない世界を想像して描く力があり、キャラクターの行動の裏には必ず理由があるということを理解し、起承転結のドラマを作れる脚本家に書いてほしかった。

 冲方丁が『EXODUS』と『THE BEYOND』で一期1話から12話までの内容で、重要な部分を自分で書いたので、私は一期12話の内容をなんとか理解することができました。

 

●終わったけど……

 『THE BEYOND』はノベライズに描かれていた「中学卒業とともに竜宮島を出たい」という一騎と甲洋の望みがかなった形で終わりましたが、引っかかる部分がある人もいると思います。『THE BEYOND』は2話を除いて人間側から描いた物語だったので、人間には言葉でコミュニケーションを取らないフェストゥムの考えは、わからないという作りになっています。そのため、人間には一騎、甲洋、操の考えや感情は読み取ることができません。人間がフェストゥムの考えや感情を知りたければ、総士が言うように「彼らの世界に触れるには、彼ら自身に触れるしかない」(『EXODUS』14話 )のです。それではフェストゥムの世界に触れるにはどうすればいいのか。それは 【蒼穹のファフナー THE BEYOND】物語を読む で書いたように、感情のないフェストゥムのように物語をロジカルに読むことです。

 また、『ファフナー』は『新世紀エヴァンゲリオン』(旧作)のように、回収されない伏線を多数残して終わったように見えます。しかし、『ファフナー』は論理的に作られているので、ロジカルに物語を読んでいくと、回収されなかった伏線の答えを得ることができます。

 

●パルジファル

 『EXODUS』26話で一騎がパルジファルになり、『パルジファル』をやろうとしたものの、一騎にはできなかったという展開になっていたので、『THE BEYOND』は『パルジファル』を下敷きにした物語になると予想してました。しかし、あの難解な『パルジファル』(wikipediaであらすじを読んでも、理解できないと思います)を土台にした物語をアニメでやるのであれば、勇気があると思っていました。『パルジファル』を理解するにはキリスト教と仏教の考えを理解する必要があるのですが、これは『パルジファル』を土台にしている『THE BEYOND』も理解するにはキリスト教と仏教の考えを理解する必要があることを意味しています。

 私が『パルジファル』と出会ったのは13歳の時でした。

 

●ソン・フレール-兄との約束-(2003年)

 『ファフナー』の一期が終わった後、『ソン・フレール-兄との約束-』(パトリス・シェロー監督)という映画を見ました。当時、なぜかこの兄弟の関係と総士と一騎の関係が重なりました。今、あらすじを見たら『EXODUS』の総士と一騎の物語そのものでした。

 

●一騎と総士

 私が一騎と総士の関係に一番近いと思っているのが、ペーター・ホフマン(1944~2010、オペラ歌手)とフリッツ・ホフマンの関係です。ペーターとフリッツは兄弟なので、一騎と総士の関係は兄弟と言っていいものだったのかもしれません。フリッツ・ホフマンは2012年に『Peter Hofmann: Geschichten aus einem bewegten Sängerleben』という本を書いたのですが、兄弟が一緒にいる写真が多数掲載されています。

 

●一騎、総士、真矢

 私が一騎、総士、真矢の関係に一番近いと思っているのが、カナダのロックバンドRUSHの3人のメンバー(アレックス・ライフソン、ゲディ・リー、ニール・ピアート)の関係です。2020年、真矢に当たるニール・ピアート(1952~2020)が亡くなりました。