蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1話-1「蒼穹作戦」

 2019年5月17日から劇場先行上映された『蒼穹のファフナー THE BEYOND』1~3話のうち、第1話の感想です。劇場で1~3話をまとめて見たため、3話までのネタバレ内容も含まれています。また、劇場で販売されたパンフレットの内容も含まれています。

 文中引用した台詞は劇場で聞き取ったものであるため、間違っている部分が多々あると思われます。ご了承ください。

 

・はじめに

 2018年12月に開催された総士生誕祭で上映された1〜3話のPVから推測できる内容は以下の通り。

  • こそうし奪還を目的とした第五次蒼穹作戦は失敗。
  • 連れ去られたこそうしはフェストゥムによって育てられた。
  • アルヴィスは少年になっていたこそうしを取り戻した。
  • こそうしは海神島へ行き、マークニヒトに乗る。

 おおまかなストーリーの流れを頭に入れた状態で本編を見ました。

 

・「THE BEYOND」のテーマ

 第1話はラストの偽の竜宮島でのシーン以外は全編戦闘シーンという作りという挑戦的な作りになっているが、この1話に今後『THE BEYOND』で描いていくであろうテーマが提示されている。

 セレノアは里奈を経由してクロッシングに侵入。クロッシングを強制解除した後もセレノアは里奈のそばにいた。里奈は仲間に攻撃しようとするセレノアを阻止するため、やむなくフェンリルを起動、つまり自ら死ぬことを選んだ。里奈がフェンリル起動した直後、セレノアは即座に里奈から離れたが、里奈の取った行動は理解できなかった。

セレノア「自らの存在を消そうとした」
『THE BEYOND』1話

 一方、エスペラントでありながら、かつて新国連がプロメテウスと呼び、今はマレスペロと名乗るコアに従うことを選んだマリスが憎んでいるのは『THE BEYOND』1話で里奈が取った行動だった。

マリス「誰かが生きるために誰かが犠牲になる。
    そんな世界を捨てて生きよう、総士」
『THE BEYOND』1話

 仲間を守るためであれば、自ら存在を消すことを選ぶという行為を理解できないフェストゥムとその行為を憎む人間(マリス)を通して、フェストゥムが “死” を知る物語になるのではないだろうか。事実、甲洋はフェストゥムに向かってこう叫んでいた。

甲洋「それが死だ、フェストゥム。
   死を学びたいものから来い」
『THE BEYOND』1話

 

 『HAEVEN AND EARTH』までに登場した竜宮島のファフナーの機体名は以下のように変更されていた。一騎はマークザインを美羽に託し(※1)、マークツヴァイ改〈グリムリーパー〉に乗り換えた。

パイロット 機体名
春日井甲洋: マークフィア改〈アバドン〉
来主操: マークドライツェン改〈クロノス〉
遠見真矢: マークジーベン改〈アズライール〉
西尾里奈: マークノイン改〈イザナミ〉

 来主操が乗るクロノス(Chronos)はギリシャ神話の時間の神の名から取られているが、それ以外の機体名はすべて “死” と結びついた固有名詞から取られている。

 

・一期26話と「THE BEYOND」1話

 『THE BEYOND』1話で行われた第5次蒼穹作戦の目的はマリスが海神島からこそうしと一緒に連れ去った子どもたちの奪還だった。今作戦の経過と結果は北極ミールに囚われたミョルニアのコアへの接触と総士の奪還を目的とした蒼穹作戦を反転させたものになっている。

    一期 BEYOND
  空へ逃げる敵 北極ミール 海神島のミールと子どもたち
  敵への攻撃 真矢が空に逃げる北極ミールを撃ち 美羽はロケットを撃てず
    北極ミールは砕け散った 海神島のミールと子どもたちは
      空へ逃げた
  総士の奪還 成功 失敗

 

・真矢とセレノア

 真矢は戦場で亡くなった姉、弓子の姿をしたフェストゥム(セレノア)を発見。真矢は見た目に迷わされず、即座にフェストゥムだと判断し攻撃した。セレノアは美羽にとっては母の姿をしたフェストゥム、こそうしにとって育ての親である。今後、美羽とこそうしがセレノアと対峙した時、『THE BEYOND』1話での真矢の行動が頭に思い浮かぶだろう。

 

・「EXODUS」16話と「THE BEYOND」

 『EXODUS』16話、オルガの乗った輸送機がウォーカーにぶつかる直前、彗はオルガを助けようと引き寄せた。しかし、オルガの怪我はひどく、彗がファフナーのコックピット内に引き寄せたときには事切れていた。『THE BEYOND』1話で彗はフェンリルでの自爆を試みた里奈を引き寄せたが、『EXODUS』16話の時とは反対に里奈が怪我をしていなかったため、救うことができた。

 

・こそうしの本質

 マリスによって連れ去られ、海神島での記憶を失ったこそうしは(※2)、偽りの竜宮島で平和に暮らしていた。ある日、こそうしは海辺の常夜灯の下に座り、海を眺めながらこうつぶやいた。

こそうし「きれいだな。
     あの向こうには何があるんだろう」
『THE BEYOND』1話

 『EXODUS』26話のラスト、海神島で一騎と海を眺めている時、こそうしはこう言っていた。

こそうし「ねえ、あの向こうにはなにがあるの」
『EXODUS』26話

 たとえ海神島で過ごした2年間の記憶を失っていたとしても、こそうしの海の向こうの世界に興味を持つという本質は変わっていなかった。事実、こそうしの父親を演じていたレガートもこう言っていた。

レガート「外の世界に興味を持つことを止められないのかもしれない」
『THE BEYOND』2話

 海の向こうの世界に憧れるこそうしの姿を見て、総士は妹もしくは姪である島のコアの許しなしでは島を出られなかったことを思い出してしまった。

 

 

※1 2019年5月18日、チネチッタで開催された舞台挨拶(14時の回)での発言より。

※2 『THE BEYOND』3話のPVには「失われた記憶」という文字がある。