うまいタイトルがつけられなかったのでこうなってしまいましたが、映画『HEAVEN AND EARTH』とドラマCD『NOW HERE』の密接な関係。
ドラマCD「NOW HERE」で一騎と総士の会話の中に「神様」という単語が出てくる。
ドラマCD『NO WHERE』の感想です。本編で説明するべきだろう、という内容にも触れています。
『NO WHERE』は1枚目のサントラに付属したドラマCDで、2004年10月27日発売。時期としては16話の放送直後。内容は9話~10話あたりの、一騎が家出する経緯を描いたもの。会話はすべて電話で行われています。
1話Aパート冒頭、大きな樹の下に無線機があり、子どもたちが話している場面があるけれど、その場面で何が起きたのか説明している。
一騎「なんで、敵に見つかったんだ」
総士「僕らが呼んだんだ」
一騎「俺たち、敵を、呼んだ」
総士「7年前、衛が修理した無線機、覚えてるか。
なにも知らなかった僕らは敵の声を受信し、
そして、応答してしまった。
あの時から敵は僕らの存在を認知していたんだ。
一騎「衛が直した無線機、あ、覚えてる。
俺とお前と、衛や甲洋もいた。
そうか、あの時俺たちが、敵を招いた」
一騎は自分たちがファフナーのパイロットとして作られた存在であることに、静かな怒りを感じている。
一騎「俺たちはみんな同じようにファフナーの操縦方法を
知らないうちに教えこまれてたんだろう」
そして、これはドラマCD『GONE/ARRIVE』のこの言葉につながる。
一騎「あいつらを倒すために俺を育てたんだろ、父さん」
一騎は真矢にフェストゥムと戦っている時の気持ちを話す。アニメでは描かれていない一騎の本心が語られている。ここの感情は小説版と同じだけど、アニメしか知らない人にはかなり衝撃的な内容だと思う。
一騎「近くで見ると、本当にキラキラ光ってて、吸い込まれそうになる。
そんな綺麗なものを、俺はこの手で叩き壊すことができるんだ」
一騎「それって気分いいんだ。
もっとあいつらを、壊したくなる。
敵を破壊すると、すごく安心する。
ものすごく嫌なことのはずなのに。
戦うのが楽しいと思う瞬間だってある」
一騎「敵を破壊して喜んでる自分が、嫌になる。
よくやったって褒められるのが怖いんだ
やらなきゃやられるのはわかってるし
攻めてきてるのは敵の方だし
別に悪いことしてないって、思うんだけど
どうしても、気が重くなって」
真矢が総士に聞いても仕方ないだろと思ったシーン。『EXODUS』を見ると、真矢は総士には本音を言いやすいんだよね。そして、真矢はこの後もずっと、自分だけがファフナーに乗れないことを悩み続けることになる。
真矢「じゃああたしはいつファフナーに乗れるの?」
総士「それは、君の適正値が変化した場合だが」
真矢「体にハンデがあるって、何度も言われてるのに…。
それって変わるものなの」
総士「可能性はある」
また総士も真矢との話の流れから本音を話してしまう。
総士「もし、羽佐間や春日井君がしたことを僕が肯定したら、
一騎は同じことをする。
あいつなら何のためらいもなく、自分を犠牲にするだろう。
あいつや他のパイロットに自己犠牲をさせないために、
ファフナーを大事にするということを、
ファフナーを失えば待っているのは島の住民の悪意だということを、
教えこまないといけないんだ」
そして、真矢に翔子の墓を汚したり、翔子の悪口の噂を流した犯人が総士であることを悟られる。
真矢「あのね、翔子の悪口の噂を流したの、皆城君
ねえ、もしかして、翔子の墓にあんなひどいことさせたの…」
真矢「ねえ、否定してよ、違うって言ってよ」
総士「否定はしない」
ここまでは電話で会話をしていたけれど、この後誰の電話もつながらず、ひたすら留守電に吹き込むという形になっている。ドラマCDならでは表現である。この中で一騎が島を出た理由が語られている。
一騎「聞いてほしいことあったけど、自分で探すことにした。
自分の目で、総士が知ってて、
俺の知らないことを、確かめようって思う」
最後に一騎のモノローグがある。ここで島を出た理由が語られる。このモノローグはそのまま10話ラストで一騎に言わせるべきだった。
一騎「ただ知りたいんだ。
知らなかったことで、後悔したくない。
だから島を出る」
そして、この言葉は15話の真矢との会話につながる。
一騎「あいつが、島の外で見たものを、俺も見たかったんだ。
そうすれば、あいつのことがわかるんじゃないかって」
15話のラストで一騎は島の外を見知ったことについて話す。
一騎「たぶん帰るっていうより、
俺がこれから行かないといけない場所なんです、竜宮島は」
溝口「似たようなことを言ってた奴がいたよ。
もう前と同じように考えられない、自分が島を守らなけりゃってな」
真矢「それってもしかして…」
一騎「総士」
一騎「頼む総士、俺が戦う。
これ以上、戦う奴を増やさないでくれ」
一騎「俺が戦っている時システムの中にはお前がいる。
怖いと思う必要もない」
総士「お前にとって僕は神様か」
一騎「似たようなもんかな」
総士「よしてくれ。僕だって全能ではないんだ。責任が持てない」
これを踏まえた上で、「HEAVEN AND EARTH」で一騎が操と話している時に「神様」という単語が出てきた場面の会話を引用してみる。
操「俺の情報は全部ミールに伝わってる。
これ以上俺に何を伝えろって言うの」
一騎「戦いたくないっていう、お前の気持ちは伝えているのか」
操「無理だよ。
ミールは俺にとって、君たちで言う神様なんだ。
神様には逆らえないでしょ」
一騎「お前が戦いをやめさせろ」
操「ミールは俺の声なんて聞かない」
一騎「思ったんだろう、空がきれいだって」
操「あっ」
一騎「命令もされずに、人間みたいに、空がきれいだって思ったんだろ。
それを奪われることがどんなことか、お前の神様に教えてやれ」
一騎「お前が総士を守ったのはミールの命令か」
操「違う、ただ彼に消えてほしくなくて。
ダメだ、俺を呼んでる」
一騎「お前の神様に逆らえ、来主」
一騎「なんでそれを選ぶ。痛みばかり増やす神様になんで逆らわない」
そして、最後、この会話が上空で一騎と操が話す場面につながる。
操「君たちを傷つけて、今更どう変われるんだ」
一騎「俺も総士に傷を負わせた」
操「えっ」
一騎「ずっと痛みを背負わせてた。でもあいつは、俺を信じてくれた」
操「一騎」
一騎「選ぶんだ、何度でも。
悲しいからって諦めないで、そこにいることを選び続けろ」
操「やだ、消えないで、一騎。
ミール、俺はもう、戦いたくない」<
追記すると、ドラマCDの最後で一騎は総士にこう言っている。
一騎「ただ、俺と同じように限界があるだけなんだ」
ドラマCDの内容を知っているのと知らないのでは一騎と操の会話の印象はかなり異なる。ドラマCDの再販を望む。