稲田豊史『映画を早送りで見る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)の言葉を手がかりに、『ファフナー』の脚本について考えてみたいと思います。
●「EXODUS」
先に結末を知りたい
稲田豊史『映画を早送りで見る人たち
ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)
『EXODUS』(2015年)は「先に結末を知りたい」というトレンドに従い、皆城総士が自らの結末を語る台詞から始まります。
総士「僕の名は皆城総士。
君がこれを聞くとき、もう僕はこの世にいないだろう
『EXODUS』1話
●「THE BEYOND」
“どうでもいい日常会話” は早送りしても支障ない
稲田豊史『映画を早送りで見る人たち
ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)
『THE BEYOND』では日常会話のシーンを早送りされないように、日常会話のシーンは短いながらも、重要な話をするという脚本になっています。
●「BEHIND THE LINE」
「日常会話のシーンとか、ただ歩いているだけのシーン」は飛ばす。
稲田豊史『映画を早送りで見る人たち
ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)
『BEHIND THE LINE』のコンセプトが「平和なファフナー」ということもあり、ここに挙げられてるシーンの多い作品です。『BEHIND THE LINE』はファン向けの作品ということもあり、近年のトレンドを意識していない脚本になっています。
●「HEAVEN AND EARTH」から「BEHIND THE LINE」
すべてをセリフで説明する作品が増えた
稲田豊史『映画を早送りで見る人たち
ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)
『HEAVEN AND EARTH』以降、映像で描いた部分は説明しない脚本になっているので、近年のトレンドである「すべてをセリフで説明する作品」とは真逆の作りになっています。
●台詞で説明する
脚本家、作品ごとの『ファフナー』の脚本の特徴を一言でまとめると以下のようになります。
一期 山野辺脚本 | 行間を読ませる | |
一期 冲方脚本 | 台詞で説明する | |
RIGHT OF LEFT | 主人公のモノローグで説明する | |
HEAVEN AND EARTH | 台詞で説明しない | |
EXODUS | 台詞で説明しない | |
THE BEYOND | 台詞で説明しない | |
BEHIND THE LINE | 台詞で説明しない |
脚本の特徴を捉えることが『ファフナー』を理解する鍵になります。