「蒼穹のファフナー EXODUS」を見直した感想 Part1(2020年)

 『THE BEYOND』を6話まで見た後に一期を見直した感想です。『THE BEYOND』6話までのネタバレが含まれています。今回、未公開にした記事は『THE BEYOND』全12話先行上映後に公開します。

 

●第1話「来訪者」

・フェストゥムの支配する世界

 『EXODUS』1話で描かれたハワイは人間の世界だった。

 しかし、人類軍は交戦規定アルファを発令した後、ハワイを放棄。『THE BEYOND』1話ではフェストゥムの支配する世界となったハワイの姿が描かれていた。そこは生命が一切存在しない、死の世界と化していた。

 

・人間の世界、フェストゥムの世界

 マレスペロの絶対停止領域が太陽を奪われた世界として描かれていたことから、太陽のある昼が人間の世界ということになる。そのため、人間が生み出した核攻撃による死の世界は月によって太陽が隠れた日食の世界として表現されていた。

 ベノンの月がある夜がフェストゥムの世界である。マレスペロの絶対停止領域は世界が永遠に闇に閉ざされた世界なのだろう。

 人間にとってフェストゥムの無の世界とは暗く荒涼とした大地が広がっている世界にすぎない。

 しかし、フェストゥムの無の世界にはフェストゥムが存在している。エレメントとエスペラントはその暗く荒涼とした大地の中にあるフェストゥムの命の源である森を見ることができる。

 

・彗とマリス

 セレノアに機体のコントロールを奪われた里奈は仲間を守るためにフェンリルを起動した。彗に助けられたものの、心が仮死状態となり、昏睡状態に陥った。里奈の心は彼女が一番幸せだった『EXODUS』1話の時代に閉じこもってしまった。

 『EXODUS』1話では西尾商店で店番をする里奈の元を彗が訪れたが、『THE BEYOND』4話ではマリスが訪れた。

 

・話を逸らす

一騎「ファフナー降りても消えないんだな」
総士「ニーベルング接続による、小規模な同化現象だ。
   いずれ治す方法を発見する」
一騎「何か学んで、やり始めて、
   でも、それがやり残したことになるのが嫌なんだ。
   お前はそうじゃないのか」
総士「回復の可能性はある、悲観するな」
『EXODUS』1話

 「お前はそうじゃないのか」という一騎の問いに対してに総士は答えていない。総士は話題が自分自身のことになると話を逸らす。

 

・総士が見ていた乙姫の姿

総士「10年前、父さんに連れられて、初めておまえを見た」
一期22話

 総士が初めて乙姫を見たのは2136年、乙姫が2~3歳の時だった。その後、総士は岩戸に通っていたので、『EXODUS』1話で岩戸の中にいるコアは総士が子供の頃に見ていた乙姫の姿なのではないだろうか。

【ワルキューレの岩戸での皆城さん】
彼が肉親を感じられる場所なのでしょう。妹の存在、母親のぬくもりを感じられる場所。8歳くらいの頃は、よく来てはそこで眠ってしまい、公蔵に抱かれて家のベッドに寝かされることの繰り返しでしょうか。
『アニメージュ』2006年1月号

 

●第3話「対話の代償」

・アショーカ

行美「島に持ってこれないってことは、
   よほど巨大か地面に固定されているか」
『EXODUS』3話

 最終的にアショーカのコアを運び、竜宮島に持ってくることを示唆しているように感じる。

 

・真矢の力

 真矢「マークザインを見に行ったとか」
カノン「あっ、知ってたのか」
 真矢「なんとなくそうかなって。
    ずっと戦いだけが居場所だったから。
    でも、今はここに一騎君の居場所があるし、大丈夫だよ」
『EXODUS』3話

 『EXODUS』の真矢の時の一騎の考えていることがわかっていた。

 

●第4話「継承者たち」

・美三香

澄美「新パイロット第一候補、水鏡美三香。
   フィジカルポテンシャル特Aダブルプラス。
   同化現象の耐久値もトップです」
『EXODUS』4話

 美三香が同化現象の耐久値がトップであるにもかかわらず、第3次蒼弓作戦で同化現象で肉体を失い、心だけの存在になってしまったことから、戦闘時の負担が相当重かったことがわかる。

 

・死者からの命令

総士「未来へ導け、一騎。
   そして、互いの祝福の彼方で会おう、何度でも」
『EXODUS』26話

 総士は一騎にこう言って、存在と無の地平線の彼方に去っていった。

一騎「まあ、嫌な命令なら聞かなくていい」
『EXODUS』4話

 『THE BEYOND』の一騎はたとえ嫌な命令であっても、従わなければいけない状況に置かれているが、一騎に命令した人はもうこの世にいないため、文句を言うことすらできない。

 

・痛みと憎しみ

 『HEAVEN AND EARTH』は北極ミールのかけらから生まれたボレアリオス・ミールが竜宮島を滅ぼそうとする物語だった。

  操「俺に君たちのコアを同化させて」
 史彦「なんだと」
  操「そうすれば戦ったりせず、
    ここのミールを俺たちのミールが同化できる。
    俺たちに痛みや死の恐怖を与えたのはこの島だから」
『HEAVEN AND EARTH』

 フェストゥムに痛みを教えたのが総士だったので、ボレアリオス・ミールは総士が生まれた竜宮島のミールを消そうとした。

 

 一方、『EXODUS』はアザゼル型が人類を滅ぼそうとする物語だった。

エメリー「彼らの憎しみに飲み込まれないで」

エメリー「家族は全員、ミールと一つになりました。
     敵から憎しみを消すために」
『EXODUS』5話

 フェストゥムは新国連が開発したマークニヒトのパイロットだった狩谷由紀恵から憎しみを学んだ。世界に7体いるアザゼル型同士の争いに勝利したプロメテウスが新たなるミール、アルタイルを手にして世界を滅ぼそうとした。プロメテウスはアルタイルの入手には失敗したが、その後、フェストゥムの群れを支配し、人間の憎しみを使ってソルダード化した兵士を作るようになった。

 

・世代交代

咲良「おつむは総士レベルよ。
   ジークフリード・システムの後継者でもあるわけ」
『EXODUS』4話

陣内「ええ、変わらず剛瑠島勤務です」
堂間「次の隊長だろ、偉いねえ」
『EXODUS』5話

 『THE BEYOND』3話で彗がシステム担当者になっていたことから、いずれ溝口が剛瑠島の戦闘部隊の隊長を引退し、陣内貢がその後を継ぐことになるのではないだろうか。

 

●第6話「祝福のとき」

・アショーカ

ウォルター「ようこそエリア・シュリーナガルへ」
   溝口「広域の電波通信を使ってやがる」
  オルガ「フェストゥムを引き寄せるはずなのに。
      敵が全くいないなんて」
   溝口「あのミールのご加護ってわけか」
『EXODUS』6話

 竜宮島の島外派遣組がシュリーナガルを訪れたのはナレイン将軍がハワイでエメリーと出会ってから1年後だった。溝口の言葉からこの時の通信範囲はシュリーナガル近郊に限定されているということになる。しかし、『THE BEYOND』4話を見ると、アショーカが海神島に根付いてから5年後ということもあり、かなり広範囲での通信が可能になっていた。

 

・グレゴリ型

 プロメテウスは新国連に捕らわれていたが、『EXODUS』22話、自らの意思で肉体を同化し、心だけの存在になることで晴れて自由の身となった。

 ミツヒロは未来での真実を語っていたということになる。

ミツヒロ「ただのグレゴリ型だ。
     同化された人間の心が幽霊のようにさまよう」
『EXODUS』6話