「蒼穹のファフナー THE BEYOND」劇場先行上映直前 TVスペシャル

 2019年4月28日20時~21時、TOKYO MXとニコニコ生放送で「『蒼穹のファフナー THE BEYOND』劇場先行上映直前TVスペシャル」が放送されました。『THE BEYOND』について話している部分は一部を除いて見ていませんので、その部分の内容については『THE BEYOND』公開後に追加する予定です。

 

 「『蒼穹のファフナー THE BEYOND』劇場先行上映直前TVスペシャル」の放送時間は51分。以下のような構成でした。

  • 「蒼穹のファフナー」とは?
  • 「蒼穹のファフナー」ダイジェスト
  • 石井真×angela 第1期放送(2004年)を振り返る
  • CM #1
  • 「RIGHT OF LEFT」ダイジェスト
  • 石井真×angela RIGHT OF LEFT(2005年)を振り返る
  • 喜安浩平×中西豪 SPECIAL TALK(前半)
  • 「HEAVEN AND EARTH」ダイジェスト
  • 石井真×angela HEAVEN AND EARTH(2010年)を振り返る
  • CM #2
  • 「EXODUS」ダイジェスト
  • 石井真×angela EXODUS(2015年)を振り返る
  • 喜安浩平×中西豪 SPECIAL TALK(後半)
  • CM #3
  • 「THE BEYOND」PV
  • 石井真×angela 最新作「THE BEYOND」について語る

 石井真さんが案内役となり、angelaの二人と一緒に1期~『EXODUS』までのダイジェスト映像を見ながら作品について語り、途中に喜安浩平さんが中西豪プロデューサーに話を聞く映像が挟み、最後に『THE BEYOND』について語るという内容でした。

 

・「蒼穹のファフナー」とは?

 世界観を説明する2分ほどの映像を見た後、物語の根幹を成す竜宮島、フェストゥム、ファフナーについて話していました。話している時、画面に表示された用語説明が的確でわかりやすかった。

アルヴィス
日本が作った専守防衛要塞艦。艦上に竜宮島を主とする複数島が存在。日本の文化を守っている。
 
フェストゥムが問う “同化”
「あなたはそこにいますか?」の問いに「はい」…とりこまれる。「いいえ」…攻撃される。
 
フェストゥムの能力
相手の心を読み、先制攻撃を仕掛ける。さらに高次元の防壁を形成、攻撃を無効化。
 
ファフナーのシステム
「フェストゥムとの同化」を原理としている。乗り続けることで、搭乗者を蝕んでいく。

 KATSUさんがフェストゥムについて話した時、石井さんが「トコロテンみたい」と突っ込んでいました。

 

・石井真×angela 第1期放送(2004年)を振り返る

 石井さんが放送開始前に新しく20インチのテレビを買ったというを話した後、一期で印象に残るものとしてatsukoさんは6話「飛翔-ぎせい-」を、KATSUさんはゴウバインを挙げました。この後、一期のOP「Shangri-La」のサビがに流れ、atsukoさんがこの曲の制作状況について話しました。

atsuko: 一番難産だったんじゃないんですかね、「Shaingri-La」は。
石井 真: 作り方が分からなかったということですか。それ以降、いろいろと作品ごとに作っていらっしゃいますけど
atsuko: 正解が分からないのと、まだそうやって主題歌をたくさん作った経験も。デビューして1年未満くらいですから。作っている時期が。まだどこを切り取ればいいのかとか。そういうのがうまく要点を掴めなかったんでしょうね。だから歌詞とかも結構やり直しましたし。今までのファフナーソング、結構書いていますけど、一番やり直したし。

 ここでCMが入りましたが、その内容については別項にまとめました。

 

・石井真×angela RIGHT OF LEFT(2005年)を振り返る

 KATSUさんが「どうせみんないなくなる」のシーンの話を始めた時のBGMが「犠牲」。『RIGHT OF LEFT』のサントラに入っている曲ですが、『RIGHT OF LEFT』で使われず最初に使ったのは『EXODUS』26話なので、ちょっと違和感を感じました。KATSUさんがプクが毒の入った餌を食べるシーンについて話したのですが、本当にアニメをよく見ていることを知りました。

 

・喜安浩平×中西豪 SPECIAL TALK(前半)

 今年で『ファフナー』は15周年というところから話は始まりました。

喜安浩平: こんなことプロデューサーに伺うのはあれなんですが、15年も続くと最初思っていました?
 中西豪: 正直はですね、思ってなかったですよ。
喜安浩平: ですよね。もちろん長く続くに越したことはないですけども。
 中西豪: キャラクターの行く先を、ずっと一緒に見届けたいっていうファンの人たちの熱い気持ちに毎回、後押しされている感はありますね。
喜安浩平: 日常を繰り返す系の話じゃなくて、こんなにもしっかりとした物語があって、15年続くってなかなかないなあと思って。
 中西豪: 最初にプロットと言うか、全体の概要とそのシリーズの終わりを1回見定めてスタートするんですけど、その通りにはならないですよね。ポーンと命を吹き込んだキャラクターたちが箱にポーンと投げ出された瞬間、やっぱりそれぞれの化学作用がどんどん起きてくるので、全然思っている通りにいかないですね。
喜安浩平: 中西さんと冲方さんがこういう物語にしようというふうに話を始めて生まれたわけですか。
 中西豪: 1回、冲方さんと僕と能戸さんでこんなことをしてみようと話をして、冲方さんにプロットを書いていただいたんです。でも最初から「島が舞台であること」と「ロボットがでること」と、それから「命を賭して戦っていく成長譚」にしようというのは決まってたんですよ(※1)。冲方さんがキャラクターは三角形だと。なのでトライアングルで人を描いて行きたいから、総士と一騎と真矢をまず最初設定されて。で、そしたらこんなにキャラクターが出てくるんですね。
 
なぜ島が舞台になったのか
 中西豪: こんなに過酷な話になる前にラピュタみたいなものを作りたかったんですよ(爆笑)。男の子と女の子が立ち向かっていって世界を変えるという。ラピュタって憧れの島とか、あそこに行けば、っていうそういう感覚があったんですよ。なのでそういう島を舞台にしましょうって言ったら。
喜安浩平: 全然違う。とんでもねえ島が生まれちゃったんですね。
 
「HEAVEN AND EARTH」誕生秘話
 中西豪: 冲方さんが僕たちとのシナリオ打ち合わせをする前に、自分で改訂稿をどんどん作ってちゃうんですよ。最終的に送られてくるのが26稿とか書いてあって。自分の中でどんどん改訂稿ができてて(※2)。いやでもそれくらいこうなんていうんですかね、きっと今喜安さんがおっしゃるように挑戦だったと思います、みんなが。でも、結果的にHAEってシリーズの中ですごく救いの話になっていて、総士がちゃんとしっかり帰ってくる。

 

・石井真×angela HEAVEN AND EARTH(2010年)を振り返る

 石井さんがEDで流れる「蒼穹」について熱く語った後、atsukoさんがこの曲の制作状況について話しました。

atsuko: ついにきたと。これでファフナーシリーズ完結。わかりました。曲おねがいします。わかりました。じゃあ、これは最後なんで、「蒼穹」というタイトルを、これ最後ですからつけましょう、ってつけたんですよ。ぜんぜん最後じゃなかったですね、これ。びっくりしました。今から振り返ると、まだファフナーの真ん中くらいですよね。

 この後、KATSUさんが『HEAVEN AND EARTH』でフェストゥムの描かれ方が変わったことを指摘し、石井さんは来主操の純粋さが怖かったと発言。この後、CMが入りました。

 

・石井真×angela EXODUS(2015年)を振り返る

 KATSUさんが9話「英雄二人」について、石井さんが美羽ちゃんと「SDP」について話しました。石井さんが話している時、画面に出た用語説明がわかりやすかった。

日野美羽
フェストゥムの”脳”である「ミール」と対話する能力を持つ少女。
 
SDP(Super Dimension Phenomenon)
竜宮島のファフナーパイロットに新たに発現した現象。様々な超人的能力を発揮、日常で発揮される場合も。
 
SDPの代償
超人的能力を発する一方、従来とは異なる、特有の同化現象が起こる。

 この後、angelaの楽曲の話になり、まずatsukoさんが「イグジスト」の制作状況について話し、続いてKATSUさんが「愛すること」の制作状況について話しました。

atsuko: 主題歌としては「Shangri-La」という高めの壁があるんですよ。あいつ、強いんですよ。angela=Shangri-La みたいな。そんな中で最新作として『EXODUS』が出る、主題歌書いてください。なんか「Shangri-La」の方が良かったねって言われたらどうしよう。そのプレッシャーの中で書けた「イグジスト」という曲。それを出した時にだれにも「Shangri-La」の方が良かったとか前の方が良かったとか、そういうことをどこでも見てなくて。なんかそれが「Shangri-La」を超える、超えないとかそういう問題ではなくて、同列として主題歌というものを並べてもらえたなという感覚があって、すごい嬉しかった。
KATSU: これは本当に計算したというか。1個だけ能戸さん、監督からリテイクが来たのが、イントロの入り方を変えてほしいって言われて。カノンが消えていくときに曲が流れ始めて、そのまんまエンディングいっぱいまで流れますっていうオーダーで。その最初の方は入り方はちょっと明るかったんですよ。「Peace of mind」を意識してて。「Peace of mind」のような明るい中でカノンが消えていき、曲が一回止まり、「好きだよ一騎」が入ってから、また曲が始まるという構想はすでにあったんですけど。イントロだけを「カノンは亡くなる瞬間までも、この世に未練を残したまま逝くんです」って言われて。イントロ作り直しましょう。で、今のイントロのちょっと暗いのになったんですよね。

 

・喜安浩平×中西豪 SPECIAL TALK(後半)

 『EXODUS』放送開始前から始まり、一期放送時の思い出話から、最新作『THE BEYOND』についての話になりました。『THE BEYOND』の話の後半は未見。

一期の思い出
 中西豪: 一期の時は思い出すと去っていくキャラクターがいると、その度にそのキャラクターのイラストを平井さんが描いてくださって、渡すんですよ。これみなさん、嬉しくもあり。
喜安浩平: もう完全卒業っていう。ご苦労さまでって言われているわけですからね。
 
最新作「THE BEYOND」について
喜安浩平: 冒頭からすさまじいですよ。
 中西豪: すさまじいですよね。わかります。1話だけを先行上映をしようかっていう話も1回、能戸さんとしたんですけど、たぶんわかんない。

 最後に喜安さんと中西さんが視聴者に向けてコメントしました。中西さんが「全然前のことを知らなくても楽しんでいただけると思いますし、その上でキャラクターの昔を振り返っていただけるのであれば、それは幸いです」と言っていました。

 この後、CMが入ったのですが、ここで初公開となる『THE BEYOND』の劇場先行上映の新規30秒CMが流れました。CM冒頭の台詞はこれまでのPVには含まれていないのでびっくりしました。

 

・「THE BEYOND」PV

 PVの途中に告知が入っていましたが、その中に『THE BEYOND』入場者プレゼントの告知がありました。

 

・最新作「THE BEYOND」について語る

 このコーナーは未見なので、『THE BEYOND』公開後に追記します。

 

 

・TOKYO MXとニコニコ生放送のCMの違い

 TOKYO MXはファフナーとキングレコードのCMが流れましたが、ニコニコ生放送で流れたCMはファフナーのみでした。番組中、3回あったCMですが、TOKYO MXでは1回目と2回目にすでに流れている『THE BEYOND』の劇場先行上映のCM(15秒)、angela『THE BEYOND』、『究極BOX』、『究極CD-BOX』のCMが流れ、その後キングレコードのCMが4本流れました。しかし、3回目のCMの時に1本目のCMが差し替えられ、新規の『THE BEYOND』の劇場先行上映のCM(30秒)が流れました。一方、ニコニコ生放送では3回とも同じCMで新規の『THE BEYOND』の劇場先行上映のCM(30秒)、angela『THE BEYOND』、『究極BOX』、『究極CD-BOX』、『THE BEYOND』特報、『THE BEYOND』の劇場先行上映のCM(15秒)の順で流れていました。つまり、ニコニコ生放送の方が先に新規の『THE BEYOND』の劇場先行上映のCMを見られたということになります。

 

・見終わった感想

 「EXODUS」ダイジェスト は時系列が若干異なっているので混乱しましたが、各作品のダイジェストはうまくまとまっていたと思います。「EXODUS」ダイジェスト のラストが竜宮島が海に沈んでいくシーンで「竜宮島、海へ…」というキャプションが辛かった。

 

 「石井真×angela xxxを振り返る」と「最新作『THE BEYOND』について語る」のバックには一期開始時に竜宮島が停泊していた場所の位置を示す「W1442715S044831」の文字がありました。

 

 「蒼穹のファフナー」シリーズと言っていたのが印象に残りました。5作目を作ったらシリーズ扱いされるようになった。

 

 作品ダイジェストのナレーションでは以下の2点が印象に残りました。

  • アルヴィスが要塞艦であることを明確にした。

 一期9巻のリーフレットと『NEWTYPE』2005年6月号にアルヴィスが要塞艦であることを示すイラスト(鷲尾直広画)が掲載されていたのですが、実際に見たことのある人は少なかった。『EXODUS』2クール目のEDでアルヴィスの全体像が描かれたので、要塞艦だと公言するようになったのだと思います。

  • 第一次~第四次蒼穹作戦の目的が明確に語られた。

 ナレーションではそれぞれの蒼穹作戦の目的を以下のように説明していました。

  • 第一次蒼穹:北極にあるデータと総士の奪還
  • 第二次蒼穹:日野美羽をミールと対話させる
  • 第三次蒼穹:奪われた竜宮島を取り戻す
  • 第四次蒼穹:地球へと到来する巨大ミール、アルタイルとの対話

 第一次蒼穹作戦の時、北極にあるデータは回収したが総士の奪還は果たせなかった。つまり作戦を完遂させることができずに一期は終わってしまった。第四次蒼穹作戦ではアルタイルと対話をする相手は未来にいるため(つまり今はいない)、その時が来るまで織姫がアルタイルを眠らせてしまった。つまり、第一次蒼穹作戦と同じく第四次蒼穹作戦も、完遂されない状態で物語は終わってしまったということになる。第一次蒼穹作戦は『HEAVEN AND EARTH』で総士は帰還したことで完遂したことから、第四次蒼穹作戦も『THE BEYOND』で竜宮島で眠るアルタイルと対話した時、完遂するのだろう。

 

 気になるクレジットですが、<協力>XEBEC 能戸 隆(I.Gzwei) 明官ゆう子(I.Gzwei)となっていました。

 

※1 冲方丁がアニメ制作に関わるようになった経緯は『ユリイカ2010年10月臨時増刊号 総特集=冲方丁』(青土社)に収録されているインタビューで明かされています。このインタビューの中で『ファフナー』で大月さんから与えられたテーマは「『島』『ロボット』『少年・少女』『群像劇』」だと言っています。

※2 『究極BOX』のブックレットに掲載された対談によると、『HEAVEN AND EARTH』の脚本の決定稿は存在しないとのこと。