【蒼穹のファフナー THE BEYOND】甲洋とこそうし

 『THE BEYOND』は冲方丁が一期で脚本を書いていない部分を、冲方丁自身が書き直す物語でもありました。

 

●春日井正浩と春日井諒子、レガートとセレノア

 春日井正浩、春日井諒子と甲洋は血の繋がっていない親子でした。

容子「彼らの中で遺伝的に両親と繋がっていないのは翔子と春日井君だけ」
一期22話

 春日井正浩と春日井諒子は甲洋が昏睡状態になった後も島に居続けようとしました。

正浩「じゃあ、俺たちはずっとはずれを育てたというレッテルを張られたまま
   この島で生きていくのか」
諒子「そんなの嫌よ」
一期9話

 しかし、史彦は春日井正浩と春日井諒子を島から追放すると決めたため、二人は強制的に島から出ていくことになりました。

 史彦「お前たちが新国連に情報を流していたことはわかっている。
    優秀なパイロットを一名育ててくれたことを感謝する。
    だが、お前たちに人の親になる資格はない。
    島から出て行ってもらう」

島民1「春日井さん家、ご夫婦で退島したそうよ」
一期9話

 

 こそうしは総士の生まれ変わりであるため、レガート、セレノアとは血の繋がっていない親子でした。

皆城総士
第四次蒼穹作戦にてニヒトの操縦の負荷で同化現象を起こし砕け散った皆城総士の生まれ変わり。
『THE BEYOND』公式サイト/CHARACTER

 レガートとセレノアは島の外に興味を持つこそうしの姿を見た時、ずっと島に居続けたいと思っていました。

レガート「ずっと今のままでいたいと思う」
セレノア「私もそうよ」
『THE BEYOND』2話

 しかし、エレメントがレガートとセレノアが暮らしていた島を破壊したので、二人は強制的に島から出ていくことになりました。

セレノア「群れを呼んでいるが、到着前に島が崩れ去る」
『THE BEYOND』3話

 

●甲洋と翔子、こそうしとフロロ(乙姫)

 翔子は甲洋の目の前でいなくなりました。

弓子「マークゼクス、フェストゥムとともに消滅しました」
一期6話

 

 フロロ(乙姫)はこそうしの目の前でいなくなりました。

 

●一騎

 竜宮島にフェストゥムがやってくる前、一騎と甲洋は友人でした。

 甲洋の両親は、島で唯一の洋風喫茶・兼・洋食屋を経営している。
 一騎はその店の常連だった。子供の頃、ちょくちょく料理下手な父親につれられていったのである。そうして親しくなったのが甲洋だ。
『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』一章3(ハヤカワ文庫JA)

 しかし、翔子が竜宮島を守るために戦っていなくなった後、一騎は翔子を殺した人になりました。

甲洋「自分たちだけ生き残って、それでいいのか。
   無理だったなんて、そんなんで納得しろってのか」

甲洋「一騎。
   翔子の墓を元通りにしたくらいでお前は、
   お前の償いは済んだとでも思っているのか」
一期7話

 

 マリスがこそうしを連れ去る前、一騎はこそうしと一緒にいました。

こそうし「ねえ、あの向こうにはなにがあるの」
  一騎「世界とお前の故郷が」
こそうし「世界、故郷」
『EXODUS』26話

 しかし、一騎がフロロ(乙姫)を消した後、一騎はフロロ(乙姫)殺した人になりました。

こそうし「返せ、乙姫を返せ。
     乙姫を返せ」

こそうし「殺してやる。
     お前を殺してやる」
『THE BEYOND』2話

 

●ショコラと美羽

 甲洋の父と母が竜宮島を出ていった後、ショコラはいつも甲洋と一緒にいました。

 

 こそうしが偽竜宮島を出た後、美羽はいつもこそうしと一緒にいました。

 

●容子と真矢

 春日井夫妻がいなくなった後、容子は甲洋とショコラの保護者でした。

容子「おかえりなさい」
甲洋「ただいま、ショコラ。
   いつもありがとう」
『THE BEYOND』5話

 

 千鶴がいなくなった後、真矢はこそうしと美羽の保護者でした。

真矢「二人とも、帰るわよ」
美羽「待ってよ、お姉ちゃん」
『THE BEYOND』8話

 

 以上のことから、一期の甲洋周辺と『THE BEYOND』こそうし周辺の人間関係は対になっています。

    一期 THE BEYOND
  主人公 甲洋 こそうし
  主人公の父 春日井正浩 レガート
  主人公の母 春日井諒子 セレノア
  大切な人 翔子 乙姫(フロロ)
  大切な人を奪った人 一騎 一騎
  そばにいる存在 ショコラ 美羽
  主人公の保護者 真矢 容子

 

 一期と『THE BEYOND』を対比させ、一期で描けなかったものを考えることが、作品から視聴者に与えられたテーマです。