「THE BEYOND」を理解し終わった後の感想 Part4

 『THE BEYOND』4巻発売後、疑問点を大方、解決し終わった後に思ったことを書きました。

 

●最後に残った疑問

 『THE BEYOND』4巻が出たので、劇場で公開している間には解決できなかった疑問点の残りについて考え始めました。そして、最後に残った疑問は「一騎はなぜ、喫茶楽園でカノンと真矢を誘ったのか」でした。これを解いた後、竜宮島が平和だった時の一騎と甲洋の望みをかなえる形で、一騎が甲洋と一緒に旅に出た理由がわかり、その瞬間、私の中で『蒼穹のファフナー』という物語が完全に終わりました。

 一番難しかったのは『THE BEYOND』11話のマークニヒト vs マークアレスの場面でした。一つ一つの場面の意味を丁寧に読み解いていく必要がありました。

 

●出口

 『THE BEYOND』10~12話の初見時の感想は「物語が終わったので、物語から出たい。しかし、出口がない!」でした。2日後、無事に出口を見つけて、物語から出たのですが、この問題の結論は「(出口は)探せば見つかるよ」(一期16話の乙姫の台詞)になりました。

 

●真矢

 『EXODUS』で総士がいなくなり、『THE BEYOND』で一騎が旅に出るという物語構成だったことを考えると、『EXODUS』~『THE BEYOND』では真矢が主人公になり、子ども時代に別れを告げ、自立する話だったということになります。

 真矢は『EXODUS』で総士という親がいなくなり(千鶴がいなくなる=真矢が親から完全に自立したことを表している)、『THE BEYOND』ラストで初恋の相手(真矢は翔子がいなくなったことで、自分の感情を隠す必要がなくなった)であるのと同時に、子ども時代の思い出でもある一騎に別れを告げた時、大人になりました。なお、真矢に未来を生きていく力をもたらしたのは、『EXODUS』で新国連という組織に触れる、という経験でした。

 

●価値観

こそうし「なんか君、フェストゥムっぽいな。
     全体の意思に従い、自由意志を持たず、
     みんな自分と同じだと思ってる。
     そっくりだ」
『THE BEYOND』8話

 一期~『EXODUS』までは人間の価値観で描かれていましたが、『THE BEYOND』はフェストゥムに育てられたこそうしとフェストゥムに近い価値観を持つ美羽を通して、フェストゥムの価値観が描かれていました。そのため、『THE BEYOND』で描かれた価値観が理解できず、物語についていけない人がいるのは当然のことだと思います。それでも「『THE BEYOND』は全く理解できない。でも、絶対に理解してやる!」と挑戦する人が出てくることを願っています。

 

●灯籠流し

 『EXODUS』24話以降の一騎を理解する時、一番大きなヒントになったのは、私が『THE BEYOND』12話、総士の灯籠を流した後の一騎の感情を経験したことがある、だと思います。


 

●作品を理解するためのヒント

  • 『THE BEYOND』で描かれた以下の事実を受け入れる。
  • 総士は別の人格を持つ存在(こそうし)に生まれ変わった。
  • 一騎は総士のいない世界で生きていく。
  • 一騎と真矢は別々の場所で生きていく。
     
  • 以下の問いに対する答えを探し続けました。

こそうし「君は何者だ。
     何を願ってる。
     何が君を君にしてる」
『THE BEYOND』11話
 

  • 『蒼穹のファフナー』は「物語を理解するのに必要な事柄を理解した時、一歩先に進める」という構造になっているので、自分が理解していない事柄について理解できるまで勉強する。