蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の感想 Part8

 蒼穹のファフナー THE BEYOND 第1~3話の感想 Part7 の公開後に書いたものです。「内通者」は「HEAVEN AND EARTH」を見直した感想 Part2 に載せられなかった文章です。

 

・島の外の世界

 一期1話の竜宮島、『THE BEYOND』2話の偽りの竜宮島は隔離された平和な島だが、子どもたちに教えた世界を比較してみると一つだけ大きく違う点がある。

     一期  THE BEYOND
  フェストゥム 存在しない 存在しない
  島の中と外の関係 島の外の世界とは没交渉。
子どもは島の外に出られない
島の外の世界とは没交渉。
子どもは島の外に出られない
  子どもたちが知っている島の外の世界 平和な世界 エスペラント軍とベノン軍が戦争中

 竜宮島と偽りの竜宮島はどちらもフェストゥムが存在せず、子どもたちは島から出ることはできなかった。しかし、島の外の世界は竜宮島と偽りの竜宮島で異なっていた。

 竜宮島を作ったのは2114年に北極ミールが飛来する前の平和な世界を知っている日本人(※1)だった。そのため、竜宮島は北極ミールが飛来する前の世界にある島ということになり、子どもたちには竜宮島だけでなく島の外も平和な世界だと教えていた。一方、偽りの竜宮島の外の世界はマリスが生まれ育った世界そのものだった。マリスは新国連が支配する生まれ育ったが、そこで人類とフェストゥムが戦い続け、さらに敵に同化されたと判断されれば、人間であっても攻撃対象であった。この世界からフェストゥムを除外すると、偽りの竜宮島の外では人間と人間が争っている世界、つまり、こそうしが知っている世界そのものになる。

 結局のところ、人間が再現できるのは自分が知っている世界のみなのである。

 

・内通者

 総士はイドゥンにさらわれた後、竜宮島を含む人類と戦うフェストゥムの指揮官にさせられた。最終的に救出されたものの、すでに時遅く、体のほとんどを同化されていた総士は自らの意思でフェストゥムの世界へ行くことを選んだ。それから2年後、敵であるボレアリオス・ミールに所属するフェストゥムである来主操は竜宮島に行くことを望んだ。

史彦「皆城総士がお前を船に乗せたのか」
 操「俺が望んだんだ。
   彼、君たちに何か伝えたがってた。
   船に彼の言葉があるでしょ」
史彦「あのデータは皆城総士によるものだと」
『HEAVEN AND EARTH』

 総士は敵であるフェストゥムが竜宮島に行くことを止めなかったため、アルヴィスからフェストゥムのスパイだと見なされてもおかしくはない。事実、総士はアルヴィスに対してボレアリオス・ミールのコアに対して情報公開を求めていた。

  保「データ作成者が総士君かなんて、確認のしようがない」
イアン「コアの状態を敵に知られた今、SCコードを公開する意味は何でしょう」
『HEAVEN AND EARTH』

 だが、総士はクロッシングを通して、フェストゥムを島に行かせた理由を一騎に伝えていた。

総士「これは賭けだ」
『HEAVEN AND EARTH』

 一騎はクロッシング状態にある総士の、半分眠っている状態だったのではっきりとは覚えていないが、総士の気持ちは一騎に伝わっていた。

 一騎「総士は、あいつに何かを賭けてる」
 史彦「総士君が島を守るため船を島に越させた、そう感じるんだな」
『HEAVEN AND EARTH』

 操は一騎と話し合った結果、最終的にボレアリオス・ミールに対して「戦いたくない」という自分の気持ちを伝えた。だが、その直後、人類軍が竜宮島を攻撃した。操は自らの命と引換えにその攻撃を止めていなくなったが、体を取り戻した総士が帰ってきた。竜宮島はフェストゥムの体を持つ総士を受け入れたが(※2)、一度フェストゥムの側へ行った総士はフェストゥムに属する者になっていた。

エメリー「あなたはフェストゥムにとって抜くことのできない棘。
     痛みを教える存在だとわたしたちのミールが言ってます」
『EXODUS』14話

 このエメリーの言葉を聞いたのは総士のみということからもわかるように、竜宮島の人々はフェストゥムの世界に行った後、体を取り戻して帰ってきた総士がフェストゥムに属する者になっていたことを知らない可能性が高い。つまり、総士はフェストゥムの世界に行ったことにより、フェストゥム側の内通者になってしまった。総士は自分の置かれている状況を把握していたため、情報をフェストゥムに渡すことなく、この世からいなくなった。しかし、永遠の存在となってしまった総士が転生してこそうしが生まれたが、物心がつく前にマリスによって連れ去られた。こそうしは14歳になるまでフェストゥムに育てられたため、こそうしは体だけでなく心もフェストゥム側の人間となってしまった。アルヴィスがこそうしを連れ戻した時、こそうしは総士のようなフェストゥムの内通者ではなく、敵そのものになっていた。

 内通者は敵と和解するための鍵であることが多いが(※3)、竜宮島のコアと近い関係にある総士とこそうしが敵であるフェストゥム側の内通者であるため、総士とこそうしがフェストゥム側につくことは竜宮島の滅亡を意味している。

 

・ 2 と 1

 一期から『EXODUS』までは 1 もしくは 3 だったものが最終的に 2 となったところで物語は終わった(※4)。一方、『THE BEYOND』は 21 を目指すという構図になっている(※5)。

 一期から『EXODUS』までは人間の物語だった。2 で終わるということは、わたしとあなたが個を持ったものとして存在し続けることを意味していた。それに対して『THE BEYOND』では  21 になろうとしているが、わたしがあなたを同化して一つになることを意味している。つまり『THE BEYOND』はフェストゥムの物語なのである。

おそらく物語終了時、二者が和『HEAVEN AND EARTH』解、一つになる、片方が消滅などの形ですべて一つになるのではないだろうか。
蒼穹のファフナー THE BEYOND 第3話「運命の器」/同じものが二つ

 『THE BEYOND』第1~3話を見た時にこう書いたが、『ファフナー』は人間とフェストゥムが共存する世界を目指す物語であるので、『THE BEYOND』でフェストゥム的な価値観を象徴する 1 を目指すのではなく、最終的に目指すべき地点は相手を理解した上で、互いに存在し続ける 2 ということになる。

 

※1 明かされているアルヴィス上層部の誕生日は2094年11月28日(日野洋治)から2007年7月28日(近藤彩乃)である。

※2 単巻BD/DVD2巻及び『EXODUS』BD-BOXの皆城総士の項目に以下のような一文がある。

人の心とフェストゥムの体の融合体という、極めて特殊な状態に生まれ変わった。それは以前なら敵と見なされていた存在。総士はそんな自分でも温かく受け入れてくれた島の人々(以下略)

※3 あしべゆうほ『クリスタル・ドラゴン』のヘンルーダ、水樹和佳子『イティハーサ』の透祜が頭に浮かんだ。ヘンルーダと透祜は主人公から見てヒロイン・ポジンションのキャラクターである。

※4 【蒼穹のファフナー EXODUS】2(ペア)を目指す物語 を参照。

※5 蒼穹のファフナー THE BEYOND 第3話「運命の器」/同じものが二つ を参照。