「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第6話-1「その傍らに」

 2019年11月8日から劇場先行上映された『蒼穹のファフナー THE BEYOND』第4~6話のうち、6話の感想です。

 文中引用した台詞は劇場で聞き取ったものであるため、間違っている部分が多々あると思われます。ご了承ください。

 

・容子と操

 自分の死という未来を見た操は容子がお母さんであったことに感謝するが、その理由は子どもが死ぬことに慣れているから。そして、無邪気に翔子とカノンと一緒に自分の写真も飾ってほしいと言ってしまう。操の悪意のない言葉は容子の怒りを買い、容子はファフナーを組み立て続けている理由を語ってしまう。

 一期では翔子がファフナーに乗る時、母、容子に言ってはいけない本音を言ってしまったが、ここでは対象的に、容子が死にゆく操に言ってはいけない本音を言ってしまう。翔子は本音を言った後、母、容子に会うことなく帰らぬ人となった。しかし、翔子とは異なり、操は未来を見ただけなのであり、まだ死んでいない。そう、操には容子ともう一度話し合って和解する時間があるのだ。

 

・こそうしと美羽

 美羽を食べればもう少し生きられるので食べたいと操は美羽に言い、美羽は腕1本ならいいよと操のお願いに応じた。その様子を横で見ていた総士が美羽の言葉を聴いて怒った。ファフナーを操縦するのに片手があればいいから、なんの迷いもなく片手を差し出すという美羽の価値観は人間よりもフェストゥムに近いのだろう。皮肉なことにフェストゥムの元で14歳まで育ち、海神島で人間によって教育されたこそうしの方が人間の価値観を理解していた。また、この場面は一期9話、総士と真矢の立場をひっくり返したものになっている。

  総士「これは甲洋の、自分で招いた結果だ。
     お陰でファフナーを失った。
     感傷に浸る暇はない」
  真矢「なんでそんなこと言うの。
     最後に春日井君と話せたのあなただけなんだよ。
     なにも感じないの」
一期9話

 一期の総士=美羽、真矢=こそうしということになる。

 

・右手

 美羽が操に片手を食べていいと言った時に差し出したのは右手、『EXODUS』22話で一騎が同化されたのも右手だった。マークザインは右手を犠牲にする機体なのかもしれない。

 

・コアの死

   操「ぼく、一人で死ぬね」
『THE BEYOND』6話

 ここで思い出すのは一期26話と『EXODUS』26話で竜宮島のコアが岩戸に戻り、島に命を返す場面である。一期では史彦、千鶴、里奈、芹が見送った。

 『EXODUS』では島民が全員去った後であるため、織姫は一人で岩戸に戻った。だが、竜宮島ミールが同化された二人の母、鞘と紅音が見守っていた。

  一騎「お前が逝く時は俺たちがそばにいる」
『THE BEYOND』6話

 一騎の言葉から操も一人で逝くのではなく、仲間に見送られて逝くことになるのだろう。

 

・こそうしとエスペラント

こそうし「君にもマリスにも教えないからな」
『THE BEYOND』6話

 こそうしは対話することなく、力づくで眠らせて従わせようとする美羽とマリス、すなわちエスペラントを拒否した。

 

・存在と痛みを調和させる者

  零央「一騎さんお陰で生き延びた」
『THE BEYOND』6話

 一騎が島の祝福を受け「存在と痛みを調和させる者」になった結果、一騎がファフナーに乗る時の同化現象はすべて背負うことになり、パイロットは健康を取り戻していた。千鶴がファフナー・パイロットを生み出した母だとしたら、一騎はファフナー・パイロットを守る父ということになるのだろう。

 

・ライバル

こそうし「君にも真壁一騎にも負けないからな」
『THE BEYOND』6話

 こそうしが総士がマークニヒトの中に残した戦闘データを見て学習した結果、こそうしの口から “真壁一騎” という名前が出てきた。こそうしにとって真壁一騎は謎の訪問者から始まり、次いで敵に、そしてライバルへと変化していった。

 

・死にまつわる単語

 『THE BEYOND』6話では操が「死ぬ」、一騎が「逝く」、零央が「成仏」と死を意識した単語が頻出していた。

 

 

P.S.

冲方「アニメの制作って脚本が先行するって、当たり前なんだけど、今、半分終わりました。これからが佳境で大変です。この映像をみなさんが味わう日が来ると思うんですけど、そのときに今日の僕ががんばってたということを思い出してほしい」冲方サミット「テスタメントシュピーゲル完結したよーー!!」

 『THE BEYOND』で視聴者に伝えようとしているものを理解してしまったので、後半が大変というのはよくわかります。

 『THE BEYOND』第4~6話公開前に『EXODUS』全話見直したかったなあ。覆水盆に返らず、時間を取り戻すことはできないのです。