「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第10~12話の感想 Part6

 「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第10~12話の感想 Part5 を公開した後に書いた感想です。

 

●地平線 その1

 指輪の跡が人間である証であるならば、『EXODUS』では指輪の跡のない総士がフェストゥム、指輪の跡のある一騎が人間だった。真矢は総士のこの言葉どおり、総士と一騎の地平線だった。

総士「遠見は僕らにとっての地平線だ」
『EXODUS』14話

 

 『EXODUS』終盤で一騎と真矢の立場が変わった。ダーウィンで死を覚悟した真矢に命を与えたのはヘスターだった。

  真矢「さよなら、一騎くん」
機械音声「4、3、2、1」
ヘスター「交戦規定アルファを撤回します」
『EXODUS』23話

 ヘスターが真矢に命を与えたことを示すかのように、真矢は『THE BEYOND』1話でセレノアに右目の視力とともに天才症候群を奪われ、人間になった。

 

 ハバロフスクでアビエイターと相打ちになり、生と死の間にいた一騎に命を与えたのは竜宮島ミールだった。

 カノン「お前が世界を祝福するなら、
     我々が生と死の循環を超える命を与えよう」
『EXODUS』24話

 この後、一騎はゆっくりとフェストゥムに近づいていった。真矢と一騎の立場の違いを現すかのように、『THE BEYOND』4話と12話では、指輪の跡がある真矢と一騎には指輪の跡がない一騎の手が一緒に描かれていた。

 

●地平線 その2

 『THE BEYOND』では指輪の跡のない一騎がフェストゥム、指輪の跡のあるこそうしが人間だった。一騎と総士の地平線だった真矢は、一期17話で一騎と総士が会って話をすることに成功した。

真矢「お願い、一騎君とちゃんと話して」
一期17話

 

 『THE BEYOND』5話、真矢はこそうしを喫茶楽園へ連れていき、一騎と引き合わせた。しかし、こそうしは一騎を見た瞬間、喫茶楽園を出ていってしまい、真矢は一騎とこそうしの地平線になれなかった。

真矢「まだ早かった。
   ごめん、一騎くん」
『THE BEYOND』5話

 『THE BEYOND』で一騎とこそうしの地平線になったのは美羽だった。美羽がこそうしを喫茶楽園に連れて行った。美羽は帰ろうとするこそうしを引き止め、こそうしは一騎と一緒に料理をした。

 

●総士と同じ道

一騎「お前が選んだ道を、俺も選ぶよ」
『EXODUS』25話

 この言葉通り、一騎は『THE BEYOND』で『EXODUS』25、26話の総士と同じことをした。

 

 総士は織姫の「あなたとあなたの器が生まれ変わる」(※1)という言葉を信じて、マークニヒトの中に言葉を残した。

総士「君の名を僕は知らない。
   もし君がこの機体と出会うなら、それが君の運命となる」
『EXODUS』25話

 一騎は真矢と史彦に言葉を残した。

一騎「遠見は十分やった。
   ファフナーを降りても、誰も文句は言わない。
   父さんも千鶴さんも」
『THE BEYOND』8話

一騎「父さんなら乗り越えられる。
   悲しみも憎しみも怒りも。
   やさしさだけを残せる」
『THE BEYOND』8話

 

 総士は一騎に自分の代わりになるもの(赤子)を残した。

 一騎は真矢に自分の代わりになるもの(こそうし)を残した。

一騎「あいつを頼む」
『THE BEYOND』4話

 竜宮島の自宅に帰った史彦は人形を手にしていた。それが竜宮島を去る息子の代わりなのだろう。

 

 総士は『EXODUS』26話でマークニヒトとともにこの世を去り、一騎は『THE BEYOND』12話で甲洋とともに竜宮島を去った。

 

 

※1 『THE BEYOND』22話の織姫の台詞。