【物語の読み方】物語の構造

 一期から『BEHIND THE LINE』までの物語の構造とそれぞれの物語を理解するための方法をまとめました。

 

●一期、「RIGHT OF LEFT」、「HEAVEN AND EARTH」

 一期6話までの『蒼穹のファフナー』は「行間を読める人」向けの物語でした。視聴者に行間を読むことを求める物語では「行間が読めて、読んだ内容を肯定できる人」が竜宮島の住人と同じ視点で物語を見ることができますが、「行間を読めるが、読んだ内容を肯定できない人」と「行間を読めない人」は竜宮島の住人ではなく、竜宮島の外の人間が竜宮島を見る視点で物語を見ることになります。視聴者に行間を読むことを求める物語は、わかる人だけがわかればいいという独りよがりで内向きの物語になりがちです。

 冲方丁が脚本を書くことで『蒼穹のファフナー』を「行間が読めて、読んだ内容を肯定できる人」だけでなく、「行間を読めるが、読んだ内容を肯定できない人」と「行間を読めない人」も竜宮島の住人と同じ視点で物語を見ることのできる作品に変えたのです。

 

●「EXODUS」

 『EXODUS』は竜宮島の住人と同じ視点で物語を見ている視聴者が、全く違う価値観を持つ人間、つまり新国連の支配する世界で生きている人々を理解するための物語です。視聴者は本を読んだり映像作品を見ることも含めて、物語の中の出来事と同じ体験をすることを通して、自分とは全く違う価値観を持つ人間の考えを理解していくことになります。『EXODUS』の終わりは「自分とは全く違う価値観を持つ人々の考えを理解し終わった時」です。

 

●「THE BEYOND」

 『THE BEYOND』は人間の視点で物語を見ている視聴者が、フェストゥムを理解するための物語です。視聴者は一期から『THE BEYOND』までを論理的に読み終わった時、フェストゥムの視点で物語を見ることができるようになります。『THE BEYOND』の終わりは「フェストゥムの視点で一期から『THE BEYOND』までを見終わった時」です。

 

●「BEHIND THE LINE」、「総士の最後の言葉」

 『BEHIND THE LINE』と冲方丁が冲方サミットのNOTEで公開した「総士の最後の言葉」は、フェストゥムの視点で一期から『THE BEYOND』までを見終わった視聴者の視点を、『ファフナー』を見る前の視点に戻す役割を担っています。

 

 私は2022年12月27日に『BEHIND THE LINE』を見た後、「総士の最後の言葉」(2023年2月12日公開)が公開される前の2023年1月2日に別の物(私の場合は音楽だった)を使って、作品を見る視点を「フェストゥムの視点」から「『ファフナー』を見る前の視点」に戻しました。私がフェストゥムの視点で物語を見始めたのは2019年11月16日なので、フェストゥムの視点で物語を理解するまで3年以上かかったということになります。『ファフナー』を見る前の視点に戻った後は、いつでも好きなキャラの視点で物語を見ることができるようになります。