「蒼穹のファフナー」を見直した感想 Part4(BS11)

 2020年7月3日からBS11で再放送されている一期18話~21話を見た時の感想をまとめました。『EXODUS』までのネタバレが含まれています。

 

・史彦 vs ミツヒロ

 竜宮島の大人たちがが子どもたちに真実を知らせることにしたのは一期10話だった。

  容子「いろいろと秘密にしていたことは謝るわ。
     でもそれは、あなたたちに平和の大切さを知ってほしかったからなの」
一期10話

 一期16話、剣司、衛、咲良が自分の意思で戦うことを選んだ後(※1)、ファフナーのパイロットである子どもたちは自分の身に起きていること、つまり真実を知った。

ミツヒロ「お前たちに移植されたフェストゥムの因子は
     ファフナーに乗るたびに増大し、
     命に関わる危険さえあるのだぞ」

ミツヒロ「あそこにいるのは所詮、受胎能力を失った日本人が作った
     遺伝子工学の産物ではないか」

ミツヒロ「彼らは結局、ファフナーを動かす電池にすぎん」
一期18話

 竜宮島の外部の人間であるミツヒロが子どもたちに真実を教えたため、子ども達の親の感情的な言葉はミツヒロに向けられた。

  容子「なんてことを」

   保「もう一度言ってみろ」
一期18話

 

 竜宮島を訪れたミツヒロの目的は真矢を竜宮島の外に連れ出し、マークニヒトのパイロットにすることだった。この時、弓子が真矢のパイロット適正データを改ざんしたことが明らかになったため、ミツヒロは弓子の罪を利用しようして、真矢を竜宮島の外に連れ出そうとした。

  千鶴「能力はトップレベルだったのね、真矢」
  弓子「ごめんなさい、でも」
ミツヒロ「そういうことか。
     悪い子だ。
     だが都合のいい状況を用意してくれたことは評価しよう」

ミツヒロ「彼女らはデータを改ざんした。
     それは重大な裏切り行為だ。
     島から追放したまえ。
     あとの面倒は私が見よう」
一期18話

 史彦はファフナーのパイロットに真実を教えた場合、それが親の反感を招くことも理解していた。そのため、史彦はミツヒロを利用して、子ども達に真実を教えるという汚れ役をミツヒロにやらせたようとしたのではないだろうか。もちろん、史彦はこの作戦が失敗した場合、その責任を取るつもりだった。

  史彦「いざという時にはお前が俺の後を頼む」
一期18話

 史彦は遠見一家をミツヒロから守っただけでなく、自らの手を汚すことなく、ミツヒロを利用してファフナーのパイロット、つまり子どもたちにに真実を教えたのである。

 

 子どもたちが真実を知る前、千鶴はファフナー搭乗後のパイロットの体の変化はパイロットの親に伝えた。

知った後の違いは伝える相手という形で表現されている。すまで、千鶴はファフナー搭乗後のパイロットの体の変化をパイロットの親に伝えていた。

  千鶴「一騎君の体のことでお話があります。
     搭乗時に彼の意識が通常と変わったことが記録されています。
     そして、やはり戦闘経験後、染色体に変化が見られました。
     今はまだ様子を見てみないと断定はできませんが。
     このまま行けば」
一期2話

  澄美「こうなることは承知していたわ。
     でもね、子どもをこんなふうに戦わせて自分たちだけ生き残るなんて。
     そんなの、そんなの、納得できません」
一期7話

  千鶴「やはり彼にも染色体に変化が見られました」
  弓子「なんとも思わないんですか」
  諒子「別に。
  正浩「うちはアルベリヒド出身だからね」
一期7話

 しかし、ミツヒロが子どもたちに真実を話した後、千鶴はファフナー搭乗後の体の変化をパイロットである真矢本人に伝えた。

  真矢「大丈夫、覚悟してたから」
  千鶴「真矢」
  真矢「隠さずに教えてくれてありがとう」
一期20話

 

・真矢と翔子

真矢「学校にも行けなくって、
   なにもできなくて、
   だた見てるしかなくて。
   やっとわかったの。
   だから、翔子のために行かせて」
一期13話

 パイロット候補生の中でただ一人、ハンデがあるという理由でファフナーに乗れない真矢は翔子と同じ状況になった時、学校に行けない翔子の気持ちを理解した。真矢は一騎を助けるためにモルドヴァに行くという行動を起こすことによって、一騎の島を守るためにファフナーに乗るという行動を取った時の翔子の気持ちを理解しようとしたのではないだろうか。そして、真矢はモルドヴァに行ったことで翔子の気持ちを理解した。

真矢「翔子が死にたくて死んだと思ってる。
   だからあんなふうに死んだって思おうとしてる」

真矢「そんなわけないじゃない。
   生きたかったに決まってるじゃない。
   あたしたちみんなと一緒にいたかったに決まってるじゃない」
ドラマCD『NOW HERE』

 つまり、真矢は翔子が戦った時の気持ちを理解した上で、ファフナーに乗って戦うことを選んだのだ。

真矢「あたしも戦うよ、翔子」
一期19話

 

・家族を守るために

 総士「確かに彼女の動機は知ってる。
    義務感と孤独だ。
    自分だけファフナーに乗れないことを気にしていたからな」
一期21話

 真矢は一騎にファフナーに乗ることが「義務」である理由を話していた。

 真矢「あたしが戦うから、お母さんもお姉ちゃんも誰にも責められずにいるんだよ。
 一騎「そんなことは」
    遠見は家族のためにファフナーに乗るっていうのか」
 真矢「そうだよ」
ドラマCD『NOW HERE』

 真矢が最初にファフナーに乗ることを選んだ理由は、パイロット適正データの改ざんという家族の罪を償うだった。だが、真矢は一騎を守りたいと思った時、ファフナーに乗る意味が変わった。

カノン「だから守ろうとしているのか」
 真矢「えっ」
カノン「剛瑠島で働くのもファフナーに乗ったのも、
    一騎の居場所を守るためか」
 真矢「どうだろう。
    気づいたらそうしてた」
『EXODUS』3話

 真矢は一騎の居場所を守りたいと思った時、真矢はファフナーに乗ることを自分で選んだ。その結果、真矢にとってファフナーに乗ることが義務ではなくなった。残念ながら、真矢の力では一騎の居場所を守ることができず、その事実を受け入れた。

 真矢「なんか情けなくなっちゃって。
    もう犠牲は嫌だとか、
    一騎君の代わりになれるとか思ったり。
    そんな力、ないのにね」
『EXODUS』10話

 真矢が自分の力の限界を知った時、真矢の心に残ったのは家族を守りたいという気持ちだった。

 一騎「遠見は十分戦った。
    みんなと島に帰ってほしい。
    美羽ちゃんは俺たちが」
 真矢「家族を置いていけないよ」
『EXODUS』10話

 真矢がファフナーに乗る理由は再び「家族のため」に戻ったが、自分の意思でファフナーに乗ることを選んだ結果、「義務」ではなくなった。この後、真矢は家族を守るためにキャンプ地を攻撃しようとしていたアルゴス小隊の爆撃機を攻撃した。

 真矢「家族も仲間もいたから。
    あなたたちだけだったら、撃てなかったかも」
『EXODUS』18話

 この時の真矢の行動は図らずも美羽が一騎と総士に言った望みをかなえることになった。

 美羽「お願い、みんなを守って」
『EXODUS』10話

 一騎と総士にとって美羽のこの言葉は竜宮島のコアの命令だった。

 一騎「美羽ちゃんを守ればいいのか」
 織姫「美羽だけじゃダメ。
    美羽が願うものすべて守りなさい」
『EXODUS』6話

 一騎と総士は竜宮島のコアに命令によって美羽の望みをかなえようとしていたが、真矢は自分で考えて行動したことで美羽の望みをかなえたということになる。

 

 

※1 一期16話の剣司、衛、咲良の会話を参照。

咲良「ぼさっとしてないでさっさと乗るよ」
剣司「乗るの」
 衛「スーツなしで」
咲良「一騎だってスーツなしで載ったことあるでしょう。
   それに、ここで戦わなきゃ父さんや甲洋たちに申し訳ないよ」