「蒼穹のファフナー」を見直した感想 Part5(2020年)

 『THE BEYOND』を6話まで見た後に一期を見直した感想です。『THE BEYOND』6話までのネタバレが含まれています。今回、未公開にした記事は『THE BEYOND』全12話先行上映後に公開します。

 

●一期19話

・真矢の役割

一騎「ファフナーと俺たち、お前にとってどっちが大切なんだ」
総士「ファフナーだ」
一期10話

 一騎は疑問点を直接、総士に質問したが、事実しか言わない総士の答えは一騎には理解できないものだった。この後、真矢が一騎が総士に聞きたかった内容を理解し、総士にその質問を投げかけ、答えを引き出してしまった。総士から口止めをされていたにもかかわらず、真矢は一騎が竜宮島に帰ってきた後、総士から聞いた答えを一騎に伝えてしまった。

一騎「遠見から聞いた。
   お前は翔子や甲洋の戦いを心の中では評価してたって」
ドラマCD『NOW HERE』

 ファフナーに乗る前、真矢は一騎(人間)と総士(フェストゥム)の調停者の役割を担おうとしていたのだ。しかし、真矢から答えを聞く前に、一騎は総士と同じように竜宮島の外の世界を見たことで総士の気持ちを理解してしまった。真矢は一騎と総士の調停者という役割を果たすことなく、その役割を終えた。この後、父、ミツヒロの訪問を期に、真矢自身の物語が始まる。

 

・マークフュンフ

 衛「いいなあ、一騎は。
   僕のも改造してほしいなあ」
剣司「新国連に頼むか。
   あいつらに改造させて分捕るんだ」
一期19話

 衛の言葉通り、マークフュンフは新国連が鹵獲し、マークレゾンに作り変えた。『THE BEYOND』6話の時点でマークレゾンはベノンが所有しているが、この台詞が伏線だとすると、最終的にマークレゾンは竜宮島側の陣営が所有することになるのだろうか。

 

・親子

 一期19話、真矢のシミュレーション訓練が終わった後、遠見家、羽佐間家、要家の様子が描かれていた。『THE BEYOND』4話、こそうしと一緒に海神島に帰還した後も遠見家、羽佐間家、近藤家(要家)の様子が描かれていた。それぞれの家の一期19話と『THE BEYOND』4話の状況を比較してみた。

 ○遠見家

 遠見家は一期19話から『THE BEYOND』4話で以下のような状況に変化した。

親:千鶴史彦 → 親:千鶴史彦
子:弓子道生 → 孫:美羽
子:真矢一騎 → 子:真矢一騎

 一期19話で男女の関係だったペアは弓子と道生だが、『THE BEYOND』4話では千鶴と史彦のペアが男女の関係になっていた。弓子と道生は亡くなっているが、美羽が残された。真矢と一騎のペアの関係はあまり進展していない。

 

 ○羽佐間家

 一期19話で容子はカノンと一緒に家にいたが、『THE BEYOND』4話では容子の元に操と甲洋がいた。一期19話では容子の元には人間の女性一人いたが、『THE BEYOND』4話ではエレメントの男性が二人いた。

 

 ○要家 → 近藤家

 要家は一期19話では咲良が亡くなった父について話していた。

咲良「お父さんの新盆の用意しないとね。
   1体でも多く敵を倒す。
   それが父さんへの供養になる」
一期19話

 『THE BEYOND』4話では近藤家に咲良と剣司の子、衛一郎とシャオの子、フェイがいた。三人は帰ってきた父、剣司とフェイの母、シャオを迎えた。一期19話で父はいなかったが、『THE BEYOND』4話では父が帰ってきた。

 

 ○皆城家

 一期19話、総士は乙姫とともにアルヴィスにいたが、『THE BEYOND』4話でこそうしは一人でアルヴィスにいた。

 

・過保護な母

千鶴「怖いんです、真矢がファフナーに乗ると思うと。
   すいません、皆さん耐えているのに」
一期19話

 千鶴は行き過ぎだと感じるほど真矢のことを心配していた。千鶴のその態度は『EXODUS』でも変わらなかった。

千鶴「あの子たちは無事でしょうか」
『EXODUS』11話

 真矢は『THE BEYOND』でエレメントとなった一騎と甲洋を除くと同級生の中で唯一の現役パイロットだった。それは親が過保護すぎるあまり子どもが精神的に大人になれず、そのため、真矢は24歳になっても同級生でただ一人現役パイロットなのだろう。

 

●一期20話

・本心

咲良「戦って満足して死んだんだよ、翔子は」
 衛「そ、そんな」
咲良「ふん」
剣司「俺たちもそうしろってのかよ」
一期7話

 咲良はかつて翔子の戦いをこう評したが、戦闘時に死に直面した後、カノンに本音を吐いていた。

咲良「翔子みたいに自爆する勇気もなくってさ」
一期20話

 咲良の本音こそ、総士が危惧していたことそのものだった。

総士「どんどん死にたくない者にまで、
   敵と一緒に死ぬことを強要するようになる」
ドラマCD『NO WHERE』

 

・反抗期

カノン「私はパイロットごと敵を倒すつもりだった」
 容子「私たちもそうして生きてきたわ」
一期20話

 しかし、一期19話の戦闘で子どもたちはフェストゥムに同化された人間ごと敵を倒すという親や人類軍の考え方を否定しようとしたが、残念ながら竜宮島を守ることを優先する総士(子どもたちには裏切り者のように感じられだろう)によって阻止された。

 剣司「お前ら咲良を殺す気か」
 総士「マークアハトの装備を凍結」
一期19話

 しかし、島のコアと総士の賭けに子どもたちが乗ったという形で子どもたちは再び親の世代の価値観を否定し、別の解決方法を示すというテーマに挑むことになった。今回、子どもたちはフェストゥムに中枢神経を同化された甲洋とともに要家に立てこもったため、大人たちもうかつに手が出せない。

 総士「俺と勝負しろ、一騎」
一期20話

 竜宮島を守ることを優先する総士は一期19話では大人側についていたように見えたが、今回は島のコアと一緒にこの事件を仕組んだ側であるため、大人と子どもの間に立ち、大人に子どもたちの言葉を聞かせる役割を担った。

 総士「甲洋を守ってくれてありがとう、一騎」
 一騎「えっ」
 総士「甲洋の時間は止まっている。
    何の感情もないはずだ」
 一騎「甲洋は感謝してくれた」
 総士「では甲洋の中で時間が進んでいるというのか」
 一騎「甲洋は咲良にありがとうと言った」
一期20話

 そして、大人たちに「友達が同化されてフェストゥムになっても、友達であることに変わりはない」という主張を認めさせることに成功した。しかし、それは子どもたちの親の世代がずっとたどり着きたいと思い、探していた未来でもあった。

カノン「私はパイロットごと敵を倒すつもりだった」
 容子「私たちもそうして生きてきたわ。
    違う生き方をずっと探しながらね」
カノン「違う生き方」
一期20話

 史彦「我々の考えは間違いではなかった。
    我々の道、フェストゥムと人の共存の最初の一歩だ」
一期20話

 一期で子どもたちは親の世代が目指した未来にたどり着いただけだったが、『EXODUS』では親の世代の考えを否定し、竜宮島を出るという大きな決断をすることになる。

 

・総士の扱い

総士「明日は僕も行きます」
史彦「君はパイロット同士で海に行くのだろう」
総士「そんな場合では」
史彦「こんなときだからこそ、仲間との時間を大事にすべきではないのかね」
一期18話

咲良「総士、あんたもこっち来な」
一期20話

 物語が終盤に差し掛かったところで、史彦の総士に対する対応が変わり、総士を年相応の子どもとして扱うようになった。それに伴い、総士の同級生も総士を自分たち側の人間だと認識し始めるようになった。