「蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE」の感想 Part1

 2023年1月20日から劇場先行上映された『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』の感想です。

 

●初日の感想

 『BEHIND THE LINE』BTLのEDで描かれた花火と一騎の瞳に映った二本の飛行機雲は、『EXODUS』17話ラスト(花火)と『THE BEYOND』12話(二本の飛行機雲)と重なることから、『BEHIND THE LINE』は『HEAVEN AND EARTH』で物語を終わることを選んだ場合の結末でした。最終的にたどり着く未来は「数年後、一騎はいなくなるが、一騎がいなくなった後も竜宮島の人々は平和に暮らしている」なのですが、総士が帰ってくる順番が違うとはいえ、一期終了後に書いた【二次創作】一期最終回のその後と同じ結末なので、このことに気がついた時はゾッとしました。

 

●終活

 一騎は『BEHIND THE LINE』のラストの夏祭りで総士に灯籠を流すことと真矢のことを頼み、翌日、カノンと真矢が選んだ道を後押しすることで自分との距離を作りました。『BEHIND THE LINE』とは一騎の終活の物語だったのです。

 『EXODUS』は総士の終活でしたが、『EXODUS』6話(システムから引退)、『EXODUS』14話(決意を言葉にする「僕は人間として生き、命を終える。それもそう長くない」)、『EXODUS』25話(マークニヒトにメッセージを残す)と総士の終活は長かったのですが、一騎は終活をたった2日(夏祭り当日と翌日)で終えてしまいました。

 

●勝ち取ったもの

 『BEHIND THE LINE』公開後にファフナーを見る人には、『BEHIND THE LINE』で終わりにして、『EXODUS』以降を見ないという選択肢が生まれました。

総士「僕たちは常に、誰かが勝ち取った平和を、譲ってもらっているんだ」
『RIGHT OF LEFT』

 総士の言葉の「平和」を「否定」に変えると、『蒼穹のファフナー』をリアルタイムで見続けた人々が勝ち取ったものになります。『蒼穹のファフナー』をリアルタイムで見続けた人々は『THE BEYOND』で「否定(ニヒト)」を勝ち取ったので、今後『蒼穹のファフナー』を見る人に、「『EXODUS』以降を否定する」という「選択肢」を譲ることができるのです。