【蒼穹のファフナー THE BEYOND】最後の言葉

 『THE BEYOND』のラストシーンまで分析し終わり、作品から最後の言葉を受け取りました。

 明確な答えが示されていない疑問点に対する答えは物語の中にありますが、それはフェストゥムの言葉で書かれています。そのため、フェストゥムの思考を理解した人だけが、答えを知ることができるのです。

 私は以下のような方法を使って、フェストゥムの思考を理解しました。

自分と異なるものと分かり合えるために自分を失うこと――それは新約聖書が言うアガペー(愛)に他ならない。 彼らにとって、外国人の隙間だらけの言葉は、それまでの自分を捨てて異質なもの、未知のものとの交わりと相互理解へと出てゆく危険と冒険の場所になる。それは同時に尋常ならざる想像力を必要とする冒険である。
大貫隆『隙間だらけの聖書』(教文館)

 この文章の中の「彼らにとって、外国人の隙間だらけの言葉」を「私にとって、フェストゥムの隙間だらけの言葉」に置き換えると、私がフェストゥムの思考を理解する過程で経験したことそのものになります。

 私は物語を理解し終わった後、自分を取り戻りました。しかし、物語を理解することで自分の考えが変わったので、物語を理解する前の自分とは少し違う自分になったのだと思います。

 

 『蒼穹のファフナー』は視聴者が自分とは違う考えを持つ物語を理解することによって、物語の登場人物と同じ経験をすることのできる物語でした。つまり、視聴者自身が望めば、自分とは違う考えを持つ人々を理解するための方法を学ぶことのできる物語になっていたのです。