「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第1~3話の感想 Part12

 『THE BEYOND』第4~6話公開間際で推敲する時間がなく、【蒼穹のファフナー THE BEYOND】竜宮島ミールと一騎の祝福を書いていたため、メモ書きに近い状態です。

 

・ベノンの本当の敵

 『THE BEYOND』第1話、第5次蒼穹作戦の戦闘データ

  • 独立人類軍の上陸部隊はギガンテス型の攻撃により全滅。
  • こそうしと二人の子どもの奪還作戦に参加したのは一騎、甲洋、操、美羽の計4名。
    エレメントとエスペラントのみ、この作戦に参加した
  • 竜宮島の後方部隊は5名で全員人間。
    セレノアはクロッシングに侵入し、システム担当者とパイロットを同化しようとした。

 フェストゥムが人類の武器である “核” と “クロッシング” を学んでしまったため、2153年の時点でフェストゥムと互角に戦えるのはエレメントのみということになる。

 

こそうし「あなたはベノンの人間、それともエスペラント

 フロロ「三人のエレメントの一人」
『THE BEYOND』2話

 偽竜宮島での会話で出てくる人間はベノン、エスペラント、エレメントの3種類であり、人類という言葉は一言も出てこない。偽竜宮島=フェストゥムの無の世界であり、『THE BEYOND』1話の戦闘を見るとわかる通り、ギガンテス型が1体いれば造作なく人類軍を根絶やしにすることができるため、もはやフェストゥムにとって人間は敵として認知されていないのである。

レガート
人間の戦い方を学習しており、ソルダート化された元人間の兵士を指揮している。
『THE BEYOND』第1~3話パンフレット

 人類軍はもはやフェストゥムと互角に戦うことはできず、ソルダート化された元人間の兵士との戦いにも戦力が割かれている。地球上は人類とフェストゥムとの戦いから人類同士の戦争へ移行しているのではないだろうか。

 

・ベノンの祝福

 マリス「でもベノンは違う。
     たとえ敵でも祝福を与えて仲間にする」
『THE BEYOND』2話

 ここでマリスの言う敵とは人類を指していると思われる。『THE BEYOND』1話、ギガンテス型は人類軍のファフナーを消滅させていたことを考えると、フェストゥムが戦士した兵士を祝福することによって生み出されたのがソルダード化された元人類の兵士(※1)になるのだろうか。

 

・人間の心

 シュリーナガルから難民を連れてハバロフスクから竜宮島に到着。さらに竜宮島から海神島に全島民と難民が移動した後、生き残っていたファフナーのパイロットは一騎と真矢の二人だけだった。真矢はその旅の途中、人類軍の爆撃機を撃墜し、アルゴス小隊のスパイを殺害し、ダーウィンではアルゴス小隊のファフナーを次々と落とした。真矢は一人、交戦規定アルファが発令される人類軍の世界で生きる兵士の生活を体験したことになる。

マリス「誰かが生きるために誰かが犠牲になる」
『THE BEYOND』1話

 真矢が自分の感情を押し潰して、人類軍の爆撃機を撃墜したことでシュリーナガルの人が、アルゴス小隊のスパイを殺害したことで一騎が助かったが、その結果、真矢は人間としての “心” を犠牲にしてしまった。その結果、かつて真矢をマークニヒトのパイロットにするために竜宮島に来た父、ミツヒロと同じ人間になってしまった。

  真矢「たとえ憎まれても二度とあの子を敵の側へは行かせない」
『THE BEYOND』3話

ミツヒロ「彼らは結局、ファフナーを動かす電池にすぎん」
一期18話

 そんな父、ミツヒロの姿を見た真矢は父にこう問いかけた。

  真矢「お父さんはフェストゥムとどう違うの」
一期18話

 戦いによって “心” を失った真矢は、皮肉なことに “心” を持たぬフェストゥムと同じになってしまったのである。そのため真矢は人を外見でのみ認識している。そのため、連れ去られたことでこそうしの “心” が変わってしまったことに全く気がついていない。

美羽「うん、あの子は総士だよ」
   真矢「なのにあたしたちを敵だと思っている」
『THE BEYOND』3話

 

 ”心” が失った真矢を支えることができるのは、シュリーナガルから竜宮島に戻る旅で生き残った一騎ということになる。しかし、真矢はハバロフスクでアルゴス小隊の捕虜になったため、一騎がハバロフスクの戦いの後、昏睡状態に陥ったことも竜宮島のミールに祝福されたことも知らない。

一騎くんが島のミールに祝福された事をいつか話してくれるといいですね。
「遠見、あのさ、俺さ、実はさ・・・」
能戸隆 2016年11月11日

 人間でありながら “心” が失った真矢と竜宮島のミールに祝福されエレメントになった一騎は会話が成立しないほど遠い関係になった。フェストゥムとフェストゥムの関係に近いとも言えるが、フェストゥムは言葉を使って意思疎通を行わない。

 

・一騎、こそうし、真矢

 一騎、こそうし、真矢の三人が象徴している組織は以下のようになる。

アルヴィス:一騎
  ベノン:こそうし
  人類軍:真矢

 『THE BEYOND』3話の時点でアルヴィスとベノン、アルヴィスと人類軍、人類軍とベノンのいずれの関係も良くない。アルヴィス、ベノン、人類軍の関係が改善された時、一騎、こそうし、真矢の三人は相互に話すことができるのではないだろうか。

 

・時間という概念

甲洋「一騎、眠りに入ったのか」
『THE BEYOND』3話

 一騎は戦闘での痛みを全部引き受けてしまうため、戦闘終了後、眠ることになる。

里奈「どんだけ眠くてもファフナーに乗れば目が覚めるって、
   ずっと乗ってろっての」
『EXODUS』13話

 『THE BEYOND』での一騎は『EXODUS』での里奈と同じ状態ということになる。

総士「一騎、最後の戦闘から何時間経った」
一騎「21時間だ」
総士「そんなにか。
   時間の感覚が鈍くなっている」
一期23話

 ジークフリード・システムがフェストゥムの根に覆われた時、総士が時間の感覚を失っていたことから、戦いと眠るだけの日々というのは時間感覚を失う、つまり一騎は時間という概念を持たないフェストゥムに近づいていくことを表現しているのではないだろうか。

 

 一騎は竜宮島ミールの祝福を受けると決めた時、警告された。

ミョルニア「たとえ成功したとしても、
      いずれお前の心は元のままではいられなくなる」
『THE FOLLOWER2』

 ミョルニアの謎めいた言葉は一騎が戦うと心を少しずつ奪われていくことを意味していた。

 操「一騎はいなくならないよ。
   でも心が消えてしまう。
   もう空をきれいだと思わなくなる」
『THE BEYOND』1話

 一騎たちが北極ミールに捕らえられていた総士を救出した時、総士の肉体を同化されていた(※2)。

総士「僕の体は、もうほとんど残っていないんだ、一騎」
一期26話

 総士は最終的に肉体がすべて同化されていなくなったが、竜宮島ミールが一騎の存在を守っているため、一騎が “人間の心” をすべて失ったとしても、つまりフェストゥムになってもいなくなることはないのである。

 

 

※1 『THE BEYOND』第1~3話パンフレットのレガートの項に「人間の戦い方を学習しており、ソルダート化された元人間の兵士を指揮している」という一文がある。

※2 北極ミールが総士を同化するのに時間がかかった理由は一期9巻DVDのリーフレットに記載されている。

■総士の貫意
イドゥンに対しても瀬戸内海ミールの因子を強く移植されている皆城総士の同化抵抗はすさまじく、安々と同化できるような状態ではなかった。だが、時間の経過とともに、彼の肉体への同化は少しずつであるが始まり、総士の体力の消耗とともに同化スピードは増し広がる。