一期~「THE BEYOND」1~3話を見直した感想 Part2(2020年)

 2020年1月~2月に一期~『THE BEYOND』1~3話を見直した後に書いたメモをまとめた記事です。

 

・こそうしの立ち位置

 一騎によって偽竜宮島から連れ出された直後のこそうしはベノンに属する人間だった。

こそうし「お前たち、エスペラント軍か。
     僕を捕虜にしてどうする気だ」」
『THE BEYOND』3話

 

 こそうしは史彦から真実を聞かされた後もベノンに属する人間だと思っていた。

こそうし「ベノンの兵士になってお前たちと戦ってやる」
『THE BEYOND』3話

こそうし「僕は捕虜だぞ。
     こ、殺すのか」
『THE BEYOND』4話

 

 こそうしはアルヴィスに閉じこもり、真実を知るために本を読んで勉強し始めた時、ベノンを信じることもできず、世界のどこにも自分の居場所がなかったため、 “捕虜” という言葉にすがることで自分の居場所を作っていた。

こそうし「他にないだろう。
     僕は捕虜なんだから」
『THE BEYOND』5話

 

 『THE BEYOND』5話、こそうしはマリスとアルヴィスの話し合いを見た後、以下の史彦の言葉が真実であると悟ったはずである。

  史彦「我々の保護下にありながら連れ去られたのだ。
     マリス・エクセルシアという名のエスペラントに」
こそうし「エスペラント?
     違う。マリスはお前たちの仲間なんかじゃない」
  史彦「そう。彼は我々を裏切り、フェストゥムの側へ去った人間だ」
『THE BEYOND』3話

 こそうしはアルヴィスを出て、遠見家で暮らし始めた後、変わり始めた。こそうしはベノンのことを “敵” と呼んでいることから、こそうし自身、ベノンに属する人間だとは思っていないはずである。

こそうし「僕が敵を呼んだと思っているのだろう。
     戦って証明してやる」
『THE BEYOND』6話

 しかしこの時、こそうしが信じているものは、夢の中に現れる少年少女とマークニヒトのみである。

 

・美羽が一番欲しいもの

マリス「君たちが願っていた家族を作ったよ、美羽」
『THE BEYOND』2話

 美羽は生まれる前に父を亡くし、4歳半で母を亡くしたことから、マリスのこの言葉は嘘ではない。しかし、亡くなった父と母がいないことを理解している美羽が一番ほしいものとは何だろう?

 美羽が自分を理解できるエメリーと一緒にいた期間は6月30日~11月23日、美羽が自分を理解できる母、弓子と一緒にいたのは7月7日~11月23日だったことから、どちらも5ヶ月ほどということになる。マリスは『EXODUS』には未登場のキャラクターであり、『THE BEYOND』1話が『EXODUS』から2年後だったことから、美羽とマリスが友だちだった期間は最長でも2年。美羽を理解して特別扱いしない人はエメリーと弓子のように短期間でいなくなるか、マリスのように生きているが、美羽を裏切り、去ってしまった。美羽が一番ほしいものとは、美羽を理解して特別扱いせず、ずっとそばにいてくれる人なのではないだろうか。

 

・アルヴィスの後継者

 海神島で指揮官である溝口の横に立っているのは千鶴だった。

 一方、Lボートで指揮官である史彦の隣に立っているのは剣司だった。

 千鶴と剣司が同じ位置に立っていることから、亡くなった千鶴の後継者は剣司ということになる。それでは海神島に移住してから5年、杖をつくようになり、老いを感じる史彦の後継者は誰なのだろうか。

 かつて、アルヴィスで千鶴に対する査問委員会が開かれる前、史彦は溝口に後を任そうとした。

史彦「いざという時にはお前が俺の後を頼む」
   溝口「まさか、お前」
一期18話

 『EXODUS』で溝口は真矢に対して戦闘機の操縦訓練を行っていたが、この時、真矢の戦闘機パイロットとしての技量はすでに溝口を追い越していた。

真矢「もおー、また溝口さんに負けた」
溝口「実戦だったら俺が落ちてるよ」
『EXODUS』1話

 真矢にとって溝口は父のような存在だったが、溝口にとって真矢は上官と部下の関係だった。

真矢「ウィルコ、お父さん」
『EXODUS』1話

溝口「もう一つ、そちらの爆撃機を撃てと命じたのは俺だ。
   処刑したけりゃ、好きにしな」
『EXODUS』23話

 それは真矢が新国連の捕虜になった時、へスターと交渉したのが真矢の上官にあたる溝口だったことからも明らかである。溝口があくまで史彦の代理だったことを考えると、史彦の次のアルヴィスの司令官の候補者は真矢なのではないだろうか。